葉月

アバター:ウェイ・オブ・ウォーターの葉月のレビュー・感想・評価

2.0
海が好きなんだなあということが映像美から伝わってきました。また「父親はこうあらねばならない」という呪縛に囚われ、キャパシティを超えたビッグダディ・ジェイクによる家父長制の末路を観たような気がしました。

一応、公式の関係図を確認しにいきましたが……「家族」として引き取ったなら、責任もって全員に愛情をかけてあげてほしかったです。それができないなら、もっと余裕のある大人に任せるべきでした。

戦争状態で精神的に余裕がないのはわかります。が、それは子どものせいではありません。(そもそも美しいパンドラを守りたいなら現地に残るんじゃなくて、元・地球人として理解ある同志を集めるとかできなかったのでしょうか。相互理解を深めるための「アバター計画」とはいったい)

小規模集団なのだから、血縁にこだわった核家族でいるのではなく、周りの大人が助け合って子どもが危険なところへ行かないように見守ることもできたはず。

終始、「子どもが勝手なことをする」というスタンスで毒親の典型だなと感じましたが、「家族」という単位でしか子どもたちの精神的なケアをできる存在がいないことも問題であったように思います。

また、あまりにも母親の影が薄い。
「家族を守る。それが父親の役目だ」と繰り返されますが、え、母親は?そもそも狩りをあなたに教えたのは母親ですが。
少なくとも弓は母親のほうがうまいはずなのに、なぜジェイクが教えているのでしょう。適材適所で指導にあたったほうが良かったのではないでしょうか。

長く続く戦争状態で親のいない子どもたちのことを族長として守るのではなく、「父親」にこだわって養子縁組するからキャパシティの限界がきているのかなと感じました。

「家族で一致団結」という規模の戦いではとうにないはずなのに、終始「血縁の家族」にこだわったのは何故なんでしょう。

ネイティリもキリも、横暴なジェイクになにか言いたそうな顔をするけれど物言わぬ女(物いう時はヒステリックになってるとき)
これはあえての描写で、最後は家父長制の批判に繋がるのかなと期待しましたが、いまいちジェイクに反省の色なく「戦いは続く!」だったのが残念でした。

ネイティリが生まれ故郷に帰って幸せになれることを切に願います。
葉月

葉月