名波ジャパン10

アバター:ウェイ・オブ・ウォーターの名波ジャパン10のレビュー・感想・評価

4.2
アバター初作は3D映画に革命を起こし、興行収入でも歴代トップの金字塔的作品です。そして、14年の時を経て公開されたこの第2作は3Dに頼らずとも映像だけで勝負できるもはや超一流の芸術作品。ストーリーが白人酋長モノで陳腐という批判がある通り、ストーリーはステレオタイプで描写も西部劇の先住民対騎兵隊の争いに被り、ベトナム戦争を想起させる場面も多々出てきます。米国はいまだにこれらの原罪というかトラウマを克服出来ていないのでしょう(原爆投下という歴史的残虐行為がトラウマとなっていないのは残念ですが)。しかし、映像の素晴らしさは唯一無二、別格です。ストーリーなどなくとも楽しめるレベルです。架空の世界、架空の生物を再現した映像、特に流動解析を駆使した水上・水中のリアリティ溢れる映像は圧巻。空想に造形を与える人間のイマジネーションとそこにリアリティを吹き込む先進のコンピュータ技術の成せる技。また、エンドロールの異常な長さに如何に多くの人々がこの作品に関わったかが示されています。絵画や小説が一人の天才から生み出されている芸術であるのに対して、映画は莫大な資金の下で多大な労力と技術力が投下されて生み出されている芸術であることが検証出来る作品です。