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グッドナイト・マミーのUKIのネタバレレビュー・内容・結末

グッドナイト・マミー(2014年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

パッケージは包帯を巻いたホラーな母親が描かれています。
序盤、少年たちから見た母親はかなりおぞましく、ヒステリックに描かれており、「本物の母親なのか?でなければ誰なのか?」と思ってしまいます。

が、しかしそれこそが監督の意図するミスリードであり、実際はそうではないのです。

正直な話、ストーリーの真実に途中で気づいてしまったので、あとはどうなるのだろうという感じで観ていたのですが、
かなり胸糞悪い展開で戦慄しました。


ストーリーは

包帯に巻かれた母親を名乗る女とその息子たちの恐怖を描いたホラー

ではなく、

事故のショックから幻覚を見ている息子の目を覚まさせようとしていた母親の話

でした。

淡々と静かに進んでいくストーリーの中には明確な描写はありませんが、
真実はこのような感じだと推測されます。

・住んでいたウィーンで事故に遭い、双子の兄弟の1人を失った息子・エリアス。
彼はそれを受け入れられず、自分の中で兄弟・ルーカスを作り出し会話するほどに病んでいた。
その心の傷を癒そうと田舎の別荘に引っ越してきていた。
おそらくおなじく事故に遭った母親は、元の顔に戻るべく整形手術を受ける。
(父親は事故後に離婚、または死亡している?)
帰ってきた母親は、未だルーカスの影にとらわれているエリアスを矯正しようと、
「(ルーカスが生きている)フリはもうやめる」と、食事を1人分しか作らなかったり、もうルーカスと話さないと約束させたりした。
しかしルーカスの死を受け入れられない息子は、兄弟の存在を認めない母親を別人だとみなし、拘束してしまう。
母親を母親だと信じられなくなったエリアスに、母親はついに「フリをする、食事も2人分作る、だから解放して」と助けを求めるが、エリアスは
「本当の母親なら今ルーカスが何をしているか答えられる?」と問う。
当然答えられない母親を見てエリアスが家に火を放ち、家は全焼、母親は焼死してしまう。
最後はルーカスと母親の幻影と共に幸せそうに歌うエリアスの姿で物語は幕を閉じる。


勘の良い人は母親の不可思議な言動や、ルーカスが直接人と話さなかったりするところから「もしかしてこれって...」と気づくかもしれません。
あるいは「実は母親が亡くなっていて、その母親の双子の姉妹が母親のフリをしている」と思うかも。
後者は完全にミスリードです。しかしそっちにも考えられるような伏線が用意されているので無理もありません。
このように物語は非常によく考えられていて、伏線も様々な部分に配置されています。

想像とはだいぶかけ離れた作品です。
予告とか、パッケージのヴィジュアルイメージや煽りとかも全然作品とは食い違っているように思えます。

しかしすごく面白く、切なく、そして恐ろしい作品でした。
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