やまだ

ボス・ベイビーのやまだのレビュー・感想・評価

ボス・ベイビー(2017年製作の映画)
3.8
大人へも子供へも伝わるものがある良作
ビートルズの「ブラックバード」がキーとなったり
L.T.D.の「back in love again」も流れたり
マトリックスのオマージュがあったり
大人でも「おや?」と思うものがありそうです

全編のメッセージというかテーマは「愛とは」のようなものだと感じました

「弟ができたことで自分に構っていた両親が弟に付きっきりになってしまい嫉妬する
そして最初は排除しようとする」
これは割とありがちなスタートで、違うのはその弟がややこしい赤ん坊だったってところ

ストーリーは王道ど真ん中で、観てて爽快感がある
子供にも勿論おすすめ

主人公のティムは夢想家で、7歳の男の子
そのティムは弟ができたことで「愛を奪われた」と感じるんですよね
つまりは愛は割合があるもので、自分に向けて欲しくば奪うものだと感じちゃう
これは弟のくだりに限らずベイビー株式会社の内部でも同じようなことが起きていました(犬にシェアを奪われると騒ぐ)

そこからボスベイビーとの日々を経て成長していき
体感的にだけど「愛って有限なものでもないし、与えることで育つものもあるんだな」と気付くのです
それが最後のほうに出る手紙で
短いのにしっかりしていて良い内容でした
きっと子供が書いた、かつ観客の子供にも伝わるようにと考えて作られたのでしょう

アニメーションはリアルに寄り過ぎないのが好印象でした
キャラだけデフォルメされててそれ以外はメチャクチャリアルとなると見てて不安になりますし…

このアニメでは主人公のティムは7歳で夢想家でもあります
7歳ならではの不安定な輪郭のボヤケた世界を描いたというのであれば、この一昔前のRPGゲームのような背景は良いと思います
また空想モードに入った時の映像は彩度も高めで非常に面白い映像になっています
まさに空想してるなぁといった感じです

個人的にはエンディングがぐっと来ました
曲は「What the world needs now is love」
まさにテーマ通りの超名曲です
そしてアニメーション
よりレトロなアニメーション風であり、内容は本編冒頭映像などと変わらないものです(両親をサメのお腹の中へ助けに行くシーンなども全く同じ)
しかし本編と違うのは隣に弟がいる事ですね
しれっとしたエンディングなのにこういう演出はニクいですね

全体的に90分という短さや内容あわせて好印象でした
家族で楽しんでもよし
一人で観て考察を深めるもよし

良い映画です


エンドロールの最後にしれっと出てくるウィジーのセリフも良かったです
「目覚めよ小さき者、出立の時!大地に根ざした人生を送れ!」
やまだ

やまだ