キミシマユウキ

ブリッジ・オブ・スパイのキミシマユウキのレビュー・感想・評価

ブリッジ・オブ・スパイ(2015年製作の映画)
3.8
冷戦下の1957年、ブルックリンの敏腕弁護士ドノヴァンはひょんなことからソ連のスパイを担当することになり、国民から非難を受けながらも正当に彼を弁護していくのだが…

映画界で最も名の知れた監督
スティーブンスピルバーグ
そしてそのパートナーとして何度も名作を共にしてきた俳優
トムハンクス
さらに実力派のコーエン兄弟などを脚本に迎えた歴史ドラマ作品。
アカデミー助演男優賞受賞。

非常に堅実に作られた良質な政治ドラマ。

劇場での鑑賞をあえて見送った今作。
理由としては個人的に劇場で観る作品は大画面ならではの臨場感や迫力、音響による相乗効果などを考慮してアクションや動きの多い作品を優先しているからだ。
そういう意味では劇場で観るには動きの少ない地味な作品だといえる。しかしそれを補うのに十分すぎるほどの内容の面白さで2時間強を楽しませてくれた。
米国×ソ連×東独
という三つ巴の張りつめた空気感を戦闘描写など一切なくスリリングに伝える手法はさすがスピルバーグ。
万人から愛される監督なだけある。
批評家からも絶賛の意見が多く、多少の歴史改変があるようだが許容範囲。
こういう粋な伝記映画はもっと沢山作られるといいと思った。 
娯楽と教育を共に体験できるお得な作品。

主演のトムハンクスにはぴったりの作品。
『ターミナル』『プライベートライアン』など何度も名作を共にしたスピルバーグの友は今回敏腕弁護士に。
多少地味に感じた題材も彼の話術による交渉方法や味のある演技のおかげでとても見やすいものになっているのは間違いない。
トムハンクスにハズレなしか。
ソ連側スパイにマークライランス。
今作での鑑賞で最も嬉しい誤算であるのが彼。
名も知らないノーマークな彼がまさかこんなに良い演技をするとは!
敵側のベテランスパイなのになぜか憎めない不思議な役を見事に演じ切っていた!
今後はスピルバーグ映画に主演を務める予定もあるとか…?
これはマークしておきましょう、ダジャレとかじゃなく。
他にも目立ちはしないものの実力派ぞろいのキャストで固まっていた。

政治ドラマや伝記映画が苦手な人でも楽しめる!
スピルバーグ×トムハンクス
の魔法にかかればどんな題材ももってこいのようだ。
あと、忘れられがちですがコーエン兄弟の脚本力も素晴らしいので、これを期に彼らの監督作も是非観てくださいね(なぜか宣伝)

政治ドラマ好き、伝記映画好き、スピルバーグ×トムハンクスの魔法にかかりたい方、一般弁護士の国をまたいだ大仕事が観たい方にはオススメの作品。