玲

この国の空の玲のレビュー・感想・評価

この国の空(2015年製作の映画)
4.0
私が一番きれいだったとき、ってすごく生への意欲に溢れている詩だなと思っていて、それにしっかりと寄り添っているような映画だった。でも、戦争はその背景でしかなく、そのとき人間は、それでも人間であるし、少女だって女になるんだと、思った。もちろん、日常、死への恐怖、というものが、特別にあるんだろうとは思うけども。
少女が女になるとき覚悟を決めたような顔、目の色の変化、その演技がすばらしいと思った。
男が少女を、木にじりじりと寄せていくところ、抱き締めるところ、キスするとき、とにかくそんな描写のあるところ全て、とにかく嫌で嫌で、涙が出た。少女が体をわたすときの、覚悟、しかし訳のわからなさ、哀しみにも思いを寄せた。
戦時中だろうが、この映画ではそれは材料でしかなく。
少女はそのときどうしたくて、なにをして、そして何を思ったのか、そこに一番心が動いた。
玲