おなかすいた

イニシエーション・ラブのおなかすいたのレビュー・感想・評価

イニシエーション・ラブ(2015年製作の映画)
5.0
原作のファンです。
ボロクソに叩くつもりで見ました。
結論から言うと「良かった」です。

イニシエーションラブは、A面の後にB面が来ると見せかけて同時進行の「時系列トリック」と、A面とB面のたっくんを同一人物だと思わせて実は別人だったという「人物誤認トリック」がメインです。時系列トリックの方はなんとかなるとして、人物誤認トリックなんて実写で出来る訳ないだろう、と思っていました。

松田翔太が一人二役やるのか?と思いましたが、それをやってしまうと納得しない人がいるだろう、と思い、公開日までどのように再現するのか気になっていました。
結果、B面の松田翔太に対してA面では不細工でデブ(失礼)の俳優を起用し、一種のギャグで誤魔化すという手法を使ったようです。
A面のデブたっくんがA面ラストでダイエット宣言をし、B面でいきなり松田翔太になっていて「いやいや、ダイエットしたからってこんなイケメンになる訳ないだろ!」という・・・
一種のギャグだと思わせといてそこが実はメイントリックだった、というのは上手いと思いました。

ストーリーはほぼ原作通り、小説では石丸さんのクリスマスディナーの場面で終わりますが、映画版では更に5分くらい延びます。A面たっくんとB面たっくん&繭子がホテルで鉢合わせして過去のシーンがフラッシュバックして終わりです。ここらへんは賛否両論ありそうです。
ちゃんと日付付きで時系列がまとめられていて「ここまで説明する必要あるか?」と最初思いましたが、原作通りクリスマスディナーのフルネームが判明するシーンで切っても正直厳しいというか・・・(あの突き放す感じが見事で個人的には好きですが)
少し上から目線の発言かもしれませんが、本当にすべてを説明しないと理解が出来ないお客さんもいるので、どうすれば良いかは難しいところだと思います。
小説が流行った頃にレビューを見て回ったりしていましたが、「ただの恋愛小説でした。どこがミステリー?」といった感想もいくつか見た事があります。当時mixiが全盛期だったのでたまにmixiレビューを見ていたのですが、若い方が多いのか「よく分からなかった」という感想が多く点数も低くつけられてたので、ファンとしては「納得いかないな・・」とモヤモヤした気持ちになりました。
それを考えるとちょっとラストで説明過多になった感があるのも、しょうがないのかな、と思います。「ラスト5分は蛇足だ」という人の気持ちも分かりますが、どのラインに落とすかは非常に難しかったと思います。

(個人的には小説版と映画版のちょうど中間くらいの締め方にして欲しかった・・・ホテルで鉢合わせして一切何も説明せず繭子の顔アップで終了、エンドロールで重要なシーンだけ流して「あれ?別人だったよな?つまりどういう事だ?」って観客を混乱させて終了、とかどうでしょう。フジテレビの放送禁止シリーズみたいなイメージです。これなら二回見たくなるような。)
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