ぽてと

東海道四谷怪談のぽてとのレビュー・感想・評価

東海道四谷怪談(1959年製作の映画)
3.7
怖いというより復讐劇というか下克上ものというか、もっとやれと思えるのがいいところだと思います。
理不尽な呪いもいいけど、怨念は一途がいい。
きっと今とは比べ物にならない程に女性の立場がとても弱かったろう時代に、取りこぼしなくやり返すには幽霊になるしかないのかなと思ったり。

本作のクズ二大巨頭の直助は開き直った環境型クズ、伊右衛門が自然発生のクズって感じ。ちょいちょいキリッとして「だって仕方ないんだもん僕は至極真っ当です」みたいな被害者面するよね。
お岩さんが三歩下がって歩くような女性ながらもどこか譲らない芯の通った部分がある故に、無意識に伊右衛門のクズさをつついてるからカンにさわってたのかも。
本当に、寺に逃げ込んで籠ってるの腹立つわ。

毒により激痛と共に崩れ始める自分の顔を見た後に、なだめるように髪に櫛を通す様が印象的。髪がごっそり抜けて血がタラタラ流れるのがおどろおどろしい。
妹のところに訪れるお岩さんの雰囲気が一番幽霊っぽい。どこか様子がおかしい…みたいな。

古めかしそうに思えますが、構図というか演出がお洒落で飽きないです。色も効果的に使用されてますよね。
幽霊画が動いているようで素敵。
どこにいようが常にお岩が傍に迫っている感じの切り替わりや、画面の暗い部分の使われ方も怪しくて好きです。
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