櫻イミト

東海道四谷怪談の櫻イミトのレビュー・感想・評価

東海道四谷怪談(1959年製作の映画)
4.0
怪談映画の史上最高傑作と称えられる名作。コッポラ監督が「世界のオカルト映画の中で最高傑作」と評価した一本。天知茂の出世作。製作:新東宝。

歌舞伎の様式美を感じさせるプロローグ。初っ端から完成度の高いワンシーンワンカットが繰り出され、その格調の高さは全編に貫かれている。特にラスト2分のモンタージュは神がかっていて、1920年代のエイゼンシュタイン監督やムルナウ監督の世界的名画を連想した。

客観視すれば、外国映画で本作のような格式のホラーは観たことが無く、コッポラ監督が高く評価するのも頷ける。

このところの日本のホラー映画はいかにもB級以下の作りなので、今後このような作品は生まれにくいかもしれない。

※三島由紀夫は本作の天知茂を絶賛。自らが原作の美輪明宏初主演舞台『黒蜥蜴』(1968)の明智小五郎役に抜擢する。

※本作の公開日1959年7月1日と同日に大映も「四谷怪談」(三隅研次監督、長谷川一夫主演)を公開した。両作は四谷怪談ものとしては初のカラー映画だった。
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