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天使のはらわた 名美のkumamurakamiのレビュー・感想・評価

天使のはらわた 名美(1979年製作の映画)
5.0
石井隆追悼上映にて。

異常な面白さだった。

序盤からこの映画の様子のおかしさが随所にみられるけど、これは笑いどころなのかミスなのかと見ていくととんでもないストーリーの崩壊へ爆速直進していくこの危うさ、めちゃくちゃさがたまらなくよかった。

後半はもう何が起こっているのかわからず、空いた口が塞がらない。ひたすら物語が美しく崩壊していく様を見るしかない、スクリーンと対峙して逃れることのできなさとエモーショナルの高まりがたまらない。

名美がレイプ被害者のその後を追いかけ続ける様子を捉えていく話であるが、やはりその時点で様子がおかしい。今の視点から見ると論理がめちゃくちゃで、もろセカンドレイプの話である。そこで、セカンドレイプをされた海辺に住む主婦が名美をぶち殺しにくるシーンのあの鮮やかさと言ったらない。この間は取材どうも、って優しく包丁をスッと出すこの抜群の感覚は田中登の演出力。ストリッパーのランもたまらなく良かった。レイプ魔の性欲が暴走してオチンチン三連結になるところなど、レイプに至る凄惨な暴力を眺める視線は、性欲の暴走をあまりにもな誇張によって表現する。そのはみ出しも、何もかも、ひたすらカッコ良い。

特筆すべき病院のシーンはポルノを観にきた観客をどっひゃーと腰抜かしたのではないか。医師にレイプされた看護師は内臓を切り裂かれて内臓姦(?)をされそうになる。それで気が狂ってしまった看護師が名美をガンガンに襲いまくるのだが、そりゃあ気が狂うわという圧倒的なゴア描写プラス恐怖映画描写。力の入りザマが半端じゃなく、性的ではなく本能的な興奮を感じた。素晴らしいシーンだった。

八神純子の『みずいろの雨』の通りに、「あぁ、崩れてしまえ」であった。このようなことはあまり言わないけれど、記憶を消してもう一度観たい。
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