バートロー

ズートピアのバートローのレビュー・感想・評価

ズートピア(2016年製作の映画)
5.0
アニメ、洋画パロディ、問題提起…紛れもなくディズニー作った全年齢対象版の「サウスパーク」だった。ただ単に動物が可愛いかったりモフモフしているだけの映画ではない。「21ジャンプストリート(映画版)」と「ホットファズ」が「バッドボーイズ2バッド」を踏襲して最高の警察コメディを作ったように、この「ズートピア」もバディコップムービーの名作「48時間」を基盤に使い、地上波で放送していたような洋画のオマージュをふんだんに使った遊び心ある警察ドラマになっている。ネタの使い方は「ホットファズ」そっくり。

なぜ、今「48時間」なのか。なぜ人間の出てこない動物だけの世界「ズートピア」を作ったのか…知性を持った動物はディズニーの象徴であり、「48時間」は白人と黒人が手を組む物語。これはアメリカで今も渦巻いている問題に対してディズニーのディズニーらしい意思表明である。しかし、それを直接表現するのではなく、遊び心を入れて大人にも子供にも納得が出来る楽しくて愉快な「映画」にしたのだ。

もちろんアメリカをモチーフにしているけども、日本や他の国も全く他人事ではなく全年齢+世界、人類全体が対象になる普遍性を持ち合わせているお化け映画。「ズートピア」とはすなわち我々の住んでいる世界なのだ。押し付けがましさを感じつつ、こういう物語を観て、大人も子供もより良い「ズートピア」を作っていこうという気持ちになってくれたら良いなと思うばかりでした。でも、そんな難しい事は観た後に、観ている間は楽しみましょう。