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モアナと伝説の海のhiのレビュー・感想・評価

モアナと伝説の海(2016年製作の映画)
4.8
最近のディズニーアニメの中で最も好きな作品の一つ。
当時映画館で見てあまりの良さに号泣し、その後もブルーレイやD+で繰り返し見ているが、続編公開がサプライズ発表されたので改めて鑑賞。

1人の少女の、行きて帰りし成長譚。
「自分は何者なのか」という疑問を抱えつつも、己のルーツや家族への愛に支えられ、勇敢に進み続けるモアナが大好きだ。
海への飽くなき憧れと島の人々への責任感で揺れる若い女性が、果たしてどちらも掴み取るのが強烈なエンパワメントになる。かっこよすぎる。
そして彼女のサポート役半神マウイ。モアナによってその傲慢な鎧が溶かされ、新たな自分を見出し人として成長していくマウイにも胸が熱くなる。
この2人が所謂“ロマンスのない男女バディ”なのも良い。

この上なく素晴らしい海の映像美。
冒頭、幼少モアナと海の邂逅のシーンは涙が出るほど美しい。
生きている海をコミカルかつ荘厳に描写する巧みさに唸ってしまう。
しかも海はただ綺麗なだけではなく、同時に非常に危険である面も描かれる。トゥイの悲しい過去やモアナが最初の航海に失敗するときに描かれる海の、なんと恐ろしいこと。
それでも、珊瑚礁のその先へ進みたくなるような摩訶不思議な魅力がたっぷりなのが、本作の海なのだ。

マッドマックスFRオマージュの対カカモラのチェイスシーンや、マウイと因縁がある巨大蟹タマトアのミュージカルシーンも大好き。
ラスボス的なヴィランとしてモアナが向き合う相手についても、描き方がとても優しくて好きだ。

音楽も言うまでもなく素晴らしく、どのナンバーにもすっかり虜になってしまうほどのユニークさがある。
当時「ハミルトン」で大盛り上がり中のリン=マニュエル・ミランダが制作に参加し、劇中歌「もっと遠くへ(We Know The Way)」やエンディング曲でも歌声とラップを披露している(Gワシントン役のクリストファージャクソンもモアナの父トゥイの歌唱パートで参加している)。

ブルーレイ収録のメイキングもすごく面白いのでおすすめ。
ポリネシアンの人々の文化や歴史への大きなリスペクトを感じる制作姿勢が嬉しい(実際の正確さ真摯さなどは私には判断できないのだが)。
当事者スタッフが涙を流すシーンはもらい泣きしてしまった。

かつて、歴史上のポリネシアンの人々が“島間を移動していなかった”時期に目をつけた本作のストーリーテリングが美しくて好きだ。
神話と現実が地続きになった世界で、神々に愛された1人の少女が人々のリーダーとなり、未来の繁栄を示す美しいエンディング。
何度見ても鳥肌が立つ。
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