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モアナと伝説の海のKANIOのレビュー・感想・評価

モアナと伝説の海(2016年製作の映画)
5.0
『アナと雪の女王』に続く、全く新しい最高のディズニープリンセス映画。

昨今ではドリームワークスのお家芸となっていたダイナミックな戦闘描写だが、比較的暴力描写を抑えがちなディズニープリンセス作品でここまで”戦う事”に割り振った描写を描き切ったいうのは、アナ雪に続いてまたも”ディズニープリンセス”という要素から一歩踏み出した、ディズニーの新たなる挑戦なのでは。

本作のオリジナル版では、前作のアナ雪やズートピアに続いて、世間の”形骸化されたジェンダー論=王道”という風潮に対して「いや、今って何をするにしても男女という括りでは計れない世界でしょ」だとか「愛って恋愛だけじゃなくて色々なカタチがあるよね」といったように、様々な切り口から自分たちが築き上げてきた”王道”に対して現代的で多様性を重んじた観点から切り込んでいく、まさに新しい世界を切り開いていこうとしている作品。

しかし、相変わらず日本語のローカライズを通すと台詞の吹き替えにしても歌詞にしても、ディズニーが新しく世界に伝えようとしている社会性を帯びたメッセージも耳障りの良い安易で安っぽい語彙に変換され、80年代から凝り固まってるような安っぽい”愛の表現”だとかハートフルな自己定義だとか、クソほど古臭い保守的なフィルターで本来のメッセージを遮ってしまっているのが本当に残念。
吹き替え版は、声優は素晴らしかったけど声から伝わるキャラクターの印象や台詞回し、改変された歌詞からは間違った印象しか与えられないので、是非とも字幕版を推奨。

こんだけ文句言ったけど、主題歌は日本版も素晴らしかったので吹き替え版も是非。

全部観ろ。
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