LEONkei

ある朝突然、スーパースターのLEONkeiのレビュー・感想・評価

2.5
カフカだな、これは…。


43歳・独身・子供なし・リサイクルショップで働く平凡な冴えない男がある朝突然、電車内で乗客からサインを求められ写真を撮られまり一躍スーパースター。

タイトルは原題の『Superstar』のままの方がシンプルでいい。

何故?と男は思う疑問は同時に観ている側への何故を誘発させる、ミステリーかコメディか何故?何故?の答えは全ての人間へのテーゼ。

60年代にアンディ・ウォーホールが『誰もが15分以内に有名人になれる、そんな時代が来るだろう。』は既に実現しているように、誰もが一瞬でスーパースターになれると同時に失う代償も得なければならない。

人はこうなりたくないと強く思った瞬間、気がついたらそうなってしまう〈自己成就〉に陥いる事になる場合がある。

世間は関心と無関心を無意識に都合よく利用し、モラルや理性の欠如した集団心理に埋没する。

平凡な男は何故だ?何故だ?だと自問し捥がき苦しみ、現代社会を皮肉る不条理で少し切ないシリアスなコメディ。

結末が若干消化不良と思うかも知れないが、単にそれは自分の描く理想に沿わないだけのこと。


変身なんてせず平凡でいいじゃないか、寧ろ自分は残り人生を平凡で静かに過ごしたい。

平凡って言葉は好きなんけど、それすら使えない世の中はどうなんだろう..★,
LEONkei

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