LEONkeiさんの映画レビュー・感想・評価

LEONkei

LEONkei

映画(3242)
ドラマ(1)
アニメ(0)

密告(1943年製作の映画)

3.8

疑いの念が募れば募るど迷いが生じ真実は遠去かる、疑えば疑うほど妄想と現実の境界線は曖昧になって行く。

凝り固まった思考を払拭するのは事実を積み重ねて机上に並べるだけでは難しい、疑念塗れの人間を描く〝
>>続きを読む

毒薬/我慢ならない女(1951年製作の映画)

3.5

毒をもって毒を制す

互いに殺したい感情を抱いても離婚できないのが古い農村の慣習、良くも悪くも都会のパリとは違うのが悲劇の根本原因か

殺人と殺害の違いを淡々と述べる夫は妻を殺す行為を正当化するが、こ
>>続きを読む

コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

3.5

取り留めのない出来事の連続性の中に、素晴らしき完璧な世界は存在する

旅や列車を人生に例えることは良くあるが車両が連なる長距離寝台列車だからこそ本作は意味があり、時代性もある中で高速鉄道や長距離バスや
>>続きを読む

エスター ファースト・キル(2022年製作の映画)

1.0

前作から一転し笑うに笑えないホームコメディとして方向転換したような軽さで、彼女に非は全くないが残念ながらエスター役の〝イザベル・ファーマン〟には無理がある..★,

ピクニック at ハンギング・ロック 4Kレストア版(1975年製作の映画)

3.5

岩山に佇む少女たちの姿は無邪気に美しく優しい自然光に包まれる、時間の概念を忘却させ非日常空間に包摂させる

穏やかな色彩とふんわりとした空気感は印象派絵画の様で神秘的でもあり、テオ・ファン・レイセルベ
>>続きを読む

扉の陰の秘密(1948年製作の映画)

3.3

妄想か幻想か現実と重ね合わせる自らの思考は、疑念と恐怖に怯えながら真実へ近づく

其れは結果的に自らの思考の渦に巻き込まれる不信感

人には其々の趣味嗜好が有り奇天烈で理解不能な様々な拘りがある中で、
>>続きを読む

シグマ_001(2023年製作の映画)

2.2

確信をついた真に正しい判断をしても其れが人間にとって都合が悪ければ狂っただとか暴走したと言う

狂気の沙汰は人間なのか或いはAIなのか

残念ながら映画としては構成力に乏しく深いテーマではあるが自分に
>>続きを読む

大冒険(1965年製作の映画)

2.8

カラーコピー機がない当時、考えることは大抵皆同じ

特撮監督〝円谷英二〟によって身体能力を超越した〝植木等〟はイーサン・ハントかインディ・ジョーンズに見えてくる、クレイジーキャッツ結成10周年記念作品
>>続きを読む

暗殺の森(1970年製作の映画)

4.2

ベルトルッチの時代を斬るエベントは独自の視点で史実を物語化する

素晴らしい構図は直視する人物の事実と背景に見える真実、計算され尽くされたように其れは残酷で美しく描写するベルトルッチの審美眼

数多の
>>続きを読む

Rabbits(原題)(2002年製作の映画)

3.3

理性によるモニタリングを排除し美や道徳を分断する思考の模造は、デヴィッド・リンチのシュルレアリスムから来る妄想怪喜劇

半獣人ミノタウロスを描いたピカソやアンドレ・マッソンとは別次元の異質さを放つ、リ
>>続きを読む

ドライブアウェイ・ドールズ(2023年製作の映画)

1.5

創造の具現化はこの上なく困難で容易ではないが、情熱の空回りはひとりでは…

やはりコーエンは兄弟二人でないと成り立たない或いはジョエルはまだ良いが、本作のイーサンはこんなにも中途半端で魅力ない映画を作
>>続きを読む

ドゥ・ノット・コール 禁断の顧客リスト(2020年製作の映画)

1.0

無遠慮な営業トークは、蛙は口ゆえ蛇に呑まるる

創造の具現化はこの上なく困難で容易ではないが、情熱も予算も関係なく描く能力がなければ面白くもなんともない..★,

エル・マリアッチ(1992年製作の映画)

3.3

ギラギラの太陽が大地を枯渇させ砂埃が憎しみを覆い隠すポポカテペトル、静かなる深情はピンクラグーンより紅いレクイエム

創造の具現化はこの上なく困難で容易ではないが、情熱さえ有れば予算とは全く関係なく描
>>続きを読む

ドリアン・グレイ/美しき肖像(1970年製作の映画)

3.3

人間は誰もが時間の経過と共に肉体は衰え老化の道へ一直線に進むが、稀代の美青年ドリアン・グレイは違った…

悪魔に魂を売ってでも若く美しい美貌を永遠に保ちたい欲望、時間の概念は直線とは限らない…

原作
>>続きを読む

村の秘密(2015年製作の映画)

2.2

目の前の事実は誰にでも見ることができるが、真実は求めようとする者しか見ることができない

瓶の蓋を開けなければ味も分からず中身はいつか腐ってしまう

見て見ぬふりすることは簡単なことで、それが穏和で平
>>続きを読む

HARAJUKU(2018年製作の映画)

3.0

大人は子供に『大人の世界は色々な事情があって複雑なんだ』と言うが、子供の世界だって同様に複雑な事情が山ほどある

むしろ其れを何故大人は判ってくれない、自らの通ってきた道を簡単に忘れてしまう大人たち
>>続きを読む

ロスト・ワールド(1925年製作の映画)

3.0

獰猛なアロサウルスの冷酷無情な眼光は鋭いハンターでジュラの異竜、長い首を静かに擡げる雄大なブロントサウルス(アパトサウルス)は高貴な雷竜、敵からの激しい攻撃にトリケラトプスの親子は強い情愛の角竜…>>続きを読む

跡形もなく消える(2023年製作の映画)

1.5

過疎村特有の緩い人間関係は失踪事件と言う事実を曖昧にし、固定観念と性善説で真実を濁らす

赤のボルボは空気が乾いた極寒で真っ白なオーストリアの雪道によく似合うが、跡形もなく記憶が消えるほど解決に至る経
>>続きを読む

暗くなるまでこの恋を(1969年製作の映画)

3.0

罪悪感を背負ってでも〝彼女無しでは生きていけない〟男の生き様は光芒を放つ、欲望に縋らざるを得ない暗闇の女は光明によって背徳感は芽生えるか…。

依依恋恋、愛は欲望を凌ぐ。

残念ながら作品としてはトリ
>>続きを読む

いちごブロンド(1941年製作の映画)

3.0

本作はモノクロ作品なので残念ながら美しい髪色は拝むことはできないが、赤毛に染め売り出した当時の〝リタ・ヘイワース〟は正にStrawberry Blond

上質な苺のように仄かに漂う甘い香りに絶妙な酸
>>続きを読む

人間の境界(2023年製作の映画)

3.3

理想と現実の乖離

人間性を解放するヒューマニズムに偏りすぎだが、産まれた姿は全人類すべて皆同じ

理想の限界と現実の歪みにいつの時代も人間は悩み苦しみ、国家と個人の関係性の矛盾に翻弄されなが生きてい
>>続きを読む

醜聞(スキャンダル)(1950年製作の映画)

3.0

分かりやすく端的に言えば事実を歪曲し嘘で塗り固めた下劣な週刊誌の餌食となる、若き画家と人気歌手が出版社とスキャンダルの是非を裁判によって争うと言う物語

しかし本題の主役は男女の代理人となる落魄れた弁
>>続きを読む

大阪少女(2020年製作の映画)

1.0

小腹が空いてるとき甘いソースの匂いに誘われ無性に食べたくなるお好み焼きやタコ焼きは好きだが、其れを定食で白米と合わせて食べるダブル炭水化物は申告敬遠させてもらう

其れは肉体的なものなのか文化や価値観
>>続きを読む

仕立て屋の恋(1989年製作の映画)

3.5

其処にいた存在を確かめるようにベッドのシーツに頬を重ね合わせる、後ろ髪の奥に潜む細い首筋から漂う香りはインモラル

其の行動は異常で変態度はかなり高いがこれが人間の奥底に潜む本能であり、激愛が故に他人
>>続きを読む

パニック(1946年製作の映画)

3.5

人間は銃や剣がなくても文字や言葉で人を殺すことができる

真実を求めるならば其の答えに恐れてはならないが、求めようとしないのは痴れ者でしかない

この作品はパトリス・ルコントの『仕立て屋の恋』でリメイ
>>続きを読む

ルックバック(2024年製作の映画)

2.5

月は太陽に憧れ、太陽は月をいざなう

暗闇から踏みだす歩幅はわずかでも共に歩めるなら、歩きにくい雪道を降り注ぐ陽光が溶かしてくれる

歩幅の大きさはココロの距離感と似ていて双方の歩容は心地良いスピード
>>続きを読む

危険な関係(1959年製作の映画)

3.5

最高級なクリスタルガラスのバカラでも100均の平凡で在り来たりのグラスでも、二階の窓から舗装された硬いコンクリへ落としたら割れてしまう


ラクロの小説『危険な関係(Les Liaisons dang
>>続きを読む

アノニマス・アニマルズ 動物の惑星(2020年製作の映画)

1.0

馬の蹄鉄は冷たく朝靄の大地を踏み
鹿の角は勇ましく太陽を突き抜き
犬の遠吠えは夕闇に悲しく響く

一度人間と動物と立場を入れ替わって考えて見れば、動物の気持ちが分かるかも知れないと考えるのは人間の方だ
>>続きを読む

赤い殺意(1964年製作の映画)

4.0

生々しく〝今村昌平〟が描写するのは人間の奥底に秘めた剥き出しの本能、誰もが内面に封印している様々な理想や欲望を泥臭く表現

グロテスクな蚕が桑の葉を小刻みに貪る乾いた音は欲望の囁き、自分の領域では物足
>>続きを読む

ミューズ 造られた理想の彼女(2015年製作の映画)

1.5

創造性は金で買えるのか買えないのか…

理想とは現実の暗闇の中で輝く一瞬の線香花火のように、その美しい火花を掴むことは難しいもの

もし仮に理想が現実となったなら、其れはその瞬間に理想ではなくなり現実
>>続きを読む

ロンリー・ガール(2009年製作の映画)

2.5

歩き疲れたなら…
生きることが全てではない

丘の上の枯れた果てた芝の上に座る赤い服の少女と白い老犬は、互いに遠くの海を見つめる背中越しのカットが印象的

新しい道を歩けば…
死ぬことが全てではない.
>>続きを読む

鳴りやまぬ鼓動(2015年製作の映画)

3.0

在りふれた日常の中にドラマは沢山隠されている、鳴りやまぬ鼓動は自分以外は誰にも聴こえない

慣れない俳優陣とペルーの街並みに若干の戸惑いを感じるが、絶え間なく生きる独白は詩的で感慨深い

他人と他人が
>>続きを読む

あのこと(2021年製作の映画)

3.0

選択肢の不在

悩み辛み苦しみ難儀非情の社会に少女は艱難辛苦する

例え其れが若気の至りで羞恥心より欲望が勝ったとしても、選択肢の不在によって人間は尊厳の欠如に陥入る

後悔する余裕さえない少女の心身
>>続きを読む

ロベレ将軍(1959年製作の映画)

3.9

或る正当性は、或る不当性。

矛盾と不条理に満ちた人間の尊厳を奪う狂った世界の中で、常軌を逸し仄かな明窓を求め滑稽に迷走する喜劇。

地位も名誉も階級も空虚なものだと知ったとき、人間は朱に交われば赤く
>>続きを読む

静かなふたり(2017年製作の映画)

2.2

沈黙が苦痛にならない関係を自分は築きたい、この沈黙が好きなんだと

愛とは苦痛なものなんだと分かったとき、愛から逃げ拒んできた

存在しているだけで世界は美しい


良く言えばナチュラル悪く言えばぎこ
>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.2

暮れてゆく年は身にそふ老いなれど春待月のいそがしきかな(蔵玉集)

この世界が素晴らしいと思うか窄らしいと思うかは自らの感性の問題、金や地位や名誉ではなく豊かな感性を育めているか否か

社会を憂い人間
>>続きを読む