LEONkeiさんの映画レビュー・感想・評価

LEONkei

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死刑執行人もまた死す(1943年製作の映画)

3.8

自由とは勝ち取るもの、何もしないで勝手に自由が何処からか転がって来るものではない


ドイツの劇作家〝ベルトルト・ブレヒト〟とオーストリア出身の〝フリッツ・ラング〟の共同原案に意味が有り、第二次世界大
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アンダー・ザ・ベッド(2017年製作の映画)

1.1

これが実話に基づく物語と言うから恐ろしい…が、かなりデフォルメされ突拍子もないと映画とは言えやり過ぎで白けてしまう


当時15歳で〈Calvin Klein〉のキャンペーンモデルを務めたドイツ人モデ
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ペトラ・フォン・カントの苦い涙(1972年製作の映画)

4.2

ファッションデザイナー〝ペトラ〟の住む一室でのみ完結する密室劇は舞台劇とは大きく異なる構図やカット割りによって感情豊かな主人公の濃淡を絶妙に表現している

ヴィム・ヴェンダースやヴェルナー・ヘルツォー
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THE FALLS(1980年製作の映画)

2.5

鳥のように青空を自由に飛んでみたいと思う人間はいても、人間のように地面を歩いてみたいと思う鳥はいない


よく最後まで194分と言う尺に耐え鑑賞したと自分でも関心、きっと最後まで観れば何かがあるだろう
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あなたと私の合言葉 さようなら、今日は(1959年製作の映画)

3.3

此処で出逢い此処で別れたならいつか互いにそよ風で流される薄雲の様に忘れてしまう、いつかまた何処かで出逢ったなら互いに頬笑み瑞雲に包まれ愉悦に浸ろう

大映の市川崑が松竹の小津安二郎へGoodbye &
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ジャンヌ(2019年製作の映画)

2.0

人間は時間が経てば黙っていても誰でも成長はするが、命は黙っていても守られるものではない

守るべきものを守る戦いを神は赦すのかどうかは知らないが、この世の中には命より大切なものがある

神を都合よく利
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ジャネット(2017年製作の映画)

2.0

神は残酷な戦争を止めるでもなく無慈悲な貧困も絶え間なく続くこの世界を静観するだけ、羊飼いの少女は神の不在に嘆き蒼天に広がる憂い唄は愛国心を芽生えさせる

自分はキリスト教徒ではないので理解しようにも理
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湿地(2006年製作の映画)

2.5

何の変哲もない幾つかの日常の食のシーンとジメッとした湿地との相乗効果で事件を不快で陰湿なものとなる

逃れられない遺伝子に焦点をあてた所と地味で渋い俳優陣とロケーションは好感がもてる

食物も遺伝も連
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カレ・ブラン(2011年製作の映画)

3.3

開始5分で作家〝ジョージ・オーウェル〟の全体主義国家の惨さを描いた最高傑作『1984』をパク…いや、多大な影響を受けたであろう反スターリニズムや反ファシズムという観点から全体主義思想の恐怖と人格否定を>>続きを読む

オーダー(2024年製作の映画)

2.5

どう終わるかではなくどう始めるか


蟻のひと噛み巨象を倒すには何もかも足りないものが多すぎるとしても、蟻が巨像を倒したい正当性や大義があるならば無駄な行為とも言えない

革命は成功しなければ愚かな行
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怒りの葡萄(1940年製作の映画)

3.8

踏み潰された葡萄は二度と味わうことはできないが、葡萄を踏み潰した靴は汚れている

これがホントの怒りのデス・ロード

中南部オクラホマからカリフォルニアへ貧農の大家族がボロボロのトラックで、アメリカン
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ラビッド(1977年製作の映画)

1.5

皮膚治療の専門病院ダン・ケロイド医師の運営する〈ケロイド・クリニック〉を起点に物語は始まるが、医師の名前を聞いただけで不謹慎だが怖いもの見たさでクローネンバーグの奇抜な描写に期待してしまう


本作の
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私の中のもうひとりの私(1989年製作の映画)

3.8

全てを持っているように見えて実は何も持っていない

耳を澄ませば聞こえてくる悲痛な叫びは通気口を通し部屋壁を震わせる、憐れんでいるのは壁の外なのか内なのか


社会通念上の道徳観や倫理観は物凄く大事で
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私は確信する(2018年製作の映画)

2.8

ひとつ疑問と言うか違和感と言うか腑に落ちないのは何故にして主人公の息子の家庭教師の父親が、妻の殺害容疑で裁判となり無罪を主人公が確信したのだろうか、仕事を疎かにし我が子を置き去りにしてまで熱心になる理>>続きを読む

午後10時の殺意(1974年製作の映画)

2.2

在りえない偶然と偶然が重なるからこそ不可思議で奇抜な物語性に掻き立てられる興味の津津、其れがあまりにも出来すぎた偶然になりすぎると陳腐な物語になってしまう難しさ

人間は予測不可能で非常識な行動を起こ
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死の十字路(1956年製作の映画)

3.0

こんな事を言ったら元も子もないがこの映画の時代に防犯カメラやドライブレコーダーが有れば、取るに足らない多くの犯罪行為は一瞬で犯人が特定され当時の犯罪小説や映画は成立しないだろう

其れでも犯罪は今もな
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枯れ葉(2023年製作の映画)

3.5

枯れ葉を静かに踏み締めれば終着駅が近いんだと知らされ、擦れ合うカサカサ音の警笛が鳴る夕暮れ

天地が橙黄色に染まり美しさに現を抜かしても、宵闇に惑わされる前に行くべき場所へ自然と促される

枯れ葉が肩
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ドリーム・シナリオ(2023年製作の映画)

2.0

主題は唆るが趣は緩い…

言いたいことは誤解を招きそうなので夢の中でこっそり吐きます、今夜貴方の夢の扉の鍵を開いておいてください..★,

線上のフェア・プレイ/フェアプレー(2014年製作の映画)

2.2

個の意志を拒絶し国家威信だけが正当性の不条理な世界、東西冷戦時代の社会主義国家の犠牲者は強圧に耐え凌ぐプラハの厳冬

個としての権威と夢の狭間の中で生きる勝負の世界に身を置くスポーツ選手は、庶民感覚と
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ファラ・フォーセットのスカイパニック/ロンドン行502便殺人事件(1975年製作の映画)

2.2

『ファラ・フォーセットの…』と言うときは大概期待ハズレのちょい役だったり直ぐに消えてしまったりするものだが、良い意味で期待を裏切る存在感で脇役ではあるが〝ファラ・フォーセット〟が好きな人なら堪能できる>>続きを読む

獅子座(1959年製作の映画)

3.8

人間は実質的なものがなくても心理的な影響によって何処までも堕ちることができる、其の逆も然り

堕ちてこそ知る人間の弱さや脆さは天国から地獄へ虚ろに放浪する

イワシ缶の油の染みは観客に与える着火点で有
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すれ違い(2015年製作の映画)

2.5

それは善意か偽善か…

裕福な夫婦が若い売春婦を援助し立ち直らせるのはボランティア精神の塊だが、この夫婦は若い売春婦の一体何を変え何を与え何から立ち直らせようとしているのか

大欲は無欲も似たり、無欲
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泥棒野郎(1969年製作の映画)

3.5

ウディ・アレンの自己意識を滑稽に描きカリカチュアライズしたブラックコメディは、社会性や宗教観など矛盾と疑問を自らをダメ男として演じ表現する原点と言える作品

実質的に監督としての第一作品はモキュメンタ
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ミスト(2007年製作の映画)

3.0

地位や名誉は虚構の砂塵、宗教は気狂いの戯言、法律は権力の掃き溜め、道徳は偽善者のゴミ屑、知識人の論理は崩壊、人間として最後の最後に残されたものは何か…

命より大切なものがあるとするならば、その答えは
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ケロッグ博士(1994年製作の映画)

2.2

ケロッグ博士のシリアルが自慰行為禁止や去勢を目的に作られた病人食からの延長だったと知り、今まで知らずに食べていたケロッグのシリアルに幻滅してしまいそう…

正に〝健康の為なら死んでもいい〟と言わんばか
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Valimo(2007年製作の映画)

3.0

それぞれのシネマ、加熱してどろどろに溶かした鉄より熱い映画愛は鋳物のように硬い労働者の顔

アキ・カウリスマキは〈日本触媒〉60秒CMも良かった

チケット売りの女性の小さなサッカーボールが沢山入った
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Bico(2004年製作の映画)

2.8

雪積もる村に電気が通り道路が街へ繋がったあの頃から老婆は悟っている、村はいつか消滅の一途を辿ることを…

真っ白い雪を汚したのは誰か、あの少女も近いうちに..★,

灼熱の魂 デジタル・リマスター版(2010年製作の映画)

4.0

耐えがたき事実の積み重ねの先に真実はある、其の衝撃的真実に人間は耐えられるのか


惨たらしい醜さや生命の尊さを叙情に満ちさせ物語性に富み人間性の本質を抉っている、矛盾点や斬新さはないが映像と音響を巧
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私はパスタファリアン: 空飛ぶスパゲッティ・モンスター教のお話(2019年製作の映画)

1.1

パスタファリアンと言ってもパスタが大好きで大好きでたまらない美味しい美食家集団のことではない

このスパモン教の信者はパスタの湯切りに使うザルを頭に被り、祈るときは〝アーメン〟ではなく〝ラーメン〟と唱
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ナイトクラビング:マクシズ・カンザス・シティ(2022年製作の映画)

3.3

カウンターカルチャーは音楽とファッションとドラッグの融合でニューヨーク・アンダーグラウンドから生まれる

様々な多種多彩な人間と人間の摩擦は刺激的で危険だが、其処から派生するアートは既存の概念に囚われ
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A Day at the Beach(原題)(1970年製作の映画)

3.5

誰もいない季節外れの海岸は空を覆い尽くす冷たい黒雨、其処に踏み入れなければ彼の冥想は事変わったはず

自堕落な人生に涙もでない濡れない涙雨、酒に溺れ心酔しココロは土砂降り

悪いのは灰色の空か降り続く
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Giliap(1975年製作の映画)

3.0

この作品を製作してから〝ロイ・アンダーソン〟は25年間映画を作ることを封印する

興行的失敗や大不評だったたことも大きな原因だろうが、世間に失望し彼自身も自分に失望した25年間

しかしただ単に失望し
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シャロウ・グレイブ(1994年製作の映画)

3.3

人間は予期せぬ大金を手に入れると例外なく確実に人間性は変わる、三人の若者は疑心暗鬼に陥り形式美的に描かれる悲喜劇

次回作『トレインスポッティング』で発揮される〝ダニー・ボイル〟の描く現実と虚構からの
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秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)

3.8

過去現在未来は繋がっていても時系列の順序が一定とは限らない非常識を超越した人間力、其れが幻想や妄想と片付けてしまうには惜しく深慮遠謀に巡ればココロは穏やかになれる

森羅万象凡ゆる生命は点ではなく線で
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サポート・ザ・ガールズ(2018年製作の映画)

2.2

どんな仕事も大変なのは当然だか其の中でも様々な客に対処しなくてはならない接客業はストレスが溜まる難業のひとつ

更に其れを束ねるリーダー的存在は苦労の連続で度重なるトラブルに主人公の苦心惨憺の姿は不憫
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密告(1943年製作の映画)

3.8

疑いの念が募れば募るど迷いが生じ真実は遠去かる、疑えば疑うほど妄想と現実の境界線は曖昧になって行く。

凝り固まった思考を払拭するのは事実を積み重ねて机上に並べるだけでは難しい、疑念塗れの人間を描く〝
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