LEONkeiさんの映画レビュー・感想・評価

LEONkei

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モンパルナスの夜(1933年製作の映画)

3.5

捜査に関してメグレ警視が頗る優秀だとしても、残念ながら人間の苦しみ悲しみを癒すことは出来ない

世の中を見渡せば人々は何の悩みもなく日々楽しく過ごしているように見えても、モンパルナスの夜のカフェ〈エデ
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ざくろの色(1971年製作の映画)

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これを映画と言って良いのか甚だ疑問

映画と言う領域を越えた芸術的映像の美は異空間に誘い自分の思考を遥か彼方に葬り去る

群盲象を評す、点数はつけられない..★,

11年目の疑惑(1952年製作の映画)

3.3

たまにはいつもの駅からひとつ先の駅で降りて少し遠回りしてぶらぶらと帰ろう、いつもと違う人にいつもと違う店にいつもと違う風景は新鮮に感じるだろう

そこで大きく深呼吸すれば空気の匂いまで違うことに気づく
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ザ・メニュー(2022年製作の映画)

2.0

料理人に限ったことではないが自信過剰な自惚れは、理想と現実を履き違え結果的には崩壊する

この作品の狂った料理人や招かれた客人らは体裁だけの現代グルメ界を風刺しているが、前菜は良かったが次々と運ばれる
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白と黒(1963年製作の映画)

3.8

良心の呵責、真実への執念、時として其れは残酷

目でもの言う仲代達哉は分かりやすく表情は過度に仰々しいが、影ある男を演じるとき鋭い眼光はビー玉のように揺れ動く

小林桂樹は朴訥でのほほんとした朗らかな
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ビリー・ザ・キッド/21才の生涯(1973年製作の映画)

3.8

ビリー・ザ・キッドを描いた作品は数あれど西部の破壊者と言うだけあって
〝サム・ペキンパー〟の独創的な表現はバイオレンスの影に潜む滅びゆく西部を情緒的に描き哀愁が漂う

西風が吹けば砂埃を撒き散らし北風
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パリ、憎しみという名の罠(2017年製作の映画)

2.2

情熱は冷静を奪い色究竟天になれば必ず歯車は狂いだす、欲望の車輪は歯止めが効かず奈落の底へ

そもそも『京都議定書』の地球温暖化の原因となる温室効果ガス排出量の削減率を定め、先進国に目標値を課せることが
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下町の太陽(1963年製作の映画)

3.3

女の幸せとは何か…
理想と現実は違うと分かっていても理想を求めてしまう現実

善悪とは関係なく人間は価値観の相違によって見えない壁や境界線を無意識に引いて生きている

両天秤に乗せられゆらゆらと揺れな
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イカルイト(2016年製作の映画)

2.5

北極圏に近い寒流のラブラドル海流が流れる極寒の地カナダのイカルイト、イヌイットの集落で単身赴任してきた男は何故死んだのか…

価値観の異なる古典的文化と近代的文化は相まみえることは容易ではないが、絶品
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招かれざる客(1967年製作の映画)

3.8

人種問題を描く映画は透き通った夜空に果てしなく広がるジョシュアツリーの星屑のように沢山あるが、映画として面白いかは全く別問題で数が増えるのは良いがゴミ屑ならないか気になるところ

この作品を観れば人種
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ホテル <ノーカット完全版>(1977年製作の映画)

2.5

危険な情事は倫理性を崩壊させ快楽に敗北、背徳感に促されたとき人生で最も美しい表情を浮かべる

人間から欲望を取ったら人類はとっくに滅びていており、人間に理性がなかったら人類はとっくに滅びていた


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合衆国最後の日(1977年製作の映画)

3.0

米国に限らず国を動かしているのは大統領でもなければ其の国の元首でもない

圧倒的支持を受け国民に選ばれても其れは風に揺らぐ案山子か踊ろされているピエロ、最初から裸の王様だったと馬鹿にされているのにも気
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四月の魚(1986年製作の映画)

1.0

噛み合わない不協和音を最後まで貫き通す雑の音、違和感を奏でる大林宣彦にある意味で敬服

四月の魚にあたったと思えばいいのか…

音楽家としての高橋幸宏は好きなんだけど..★,

オスカー・ピーターソン/オスカー・ピーターソン:ジャズ界の革命児(2020年製作の映画)

3.5

モダン派のジャズピアニスト〈鍵盤の皇帝〉〝オスカー・ピーターソン〟のドキュメンタリー

即興演奏と言う表現では軽く安っぽすぎてしまうが指先に魂が宿ったかのように自由に鍵盤を駆け巡る超絶技巧は華麗で美し
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メシア・オブ・ザ・デッド/メサイア・オブ・デッド(1973年製作の映画)

3.0

部屋壁のグラフィカルな人影は無言に蔑まし訴えかける叙情的ポストモダンホラー

凡ゆる光源からも影響を受けない領域が本来の影であるように、闇に潜む真実の影は唯一無にの真影

その真影を惑わし幻影として揺
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ウィルバーの事情(2002年製作の映画)

2.0

死をもって生の尊さを知る逆転の構想

虚無感に苛まれたウィルバーの再三の自殺行為は死に対する願望ではなく生に対する目覚めなのかも知れない

自殺行為を何度も繰り返すと言うことは死なずに生きている現実の
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ベルトルッチの分身(1968年製作の映画)

3.5

今ある思考を巡らせてもドストエフスキーを理解するには奥深く時間が足りない、或いは一生を懸けて読み解く楽しみがあると言った方が正確なのかも知れない

文学的哲学的な台詞に乗せベルトリッチの独特な描写は奇
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太腿のディアナ エクスタシーの罠(2018年製作の映画)

2.0

そもそも安易に〈太腿〉とタイトルに入れるセンスが自分には理解できない、快楽の最絶頂〈エクスタシー〉と言う割には恍惚感に乏しい

全般的に若干の怠さを感じ集中しないと睡魔に襲われそうになり何かが全体に物
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死刑執行人もまた死す(1943年製作の映画)

3.8

自由とは勝ち取るもの、何もしないで勝手に自由が何処からか転がって来るものではない


ドイツの劇作家〝ベルトルト・ブレヒト〟とオーストリア出身の〝フリッツ・ラング〟の共同原案に意味が有り、第二次世界大
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アンダー・ザ・ベッド(2017年製作の映画)

1.1

これが実話に基づく物語と言うから恐ろしい…が、かなりデフォルメされ突拍子もないと映画とは言えやり過ぎで白けてしまう


当時15歳で〈Calvin Klein〉のキャンペーンモデルを務めたドイツ人モデ
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ペトラ・フォン・カントの苦い涙(1972年製作の映画)

4.2

ファッションデザイナー〝ペトラ〟の住む一室でのみ完結する密室劇は舞台劇とは大きく異なる構図やカット割りによって感情豊かな主人公の濃淡を絶妙に表現している

ヴィム・ヴェンダースやヴェルナー・ヘルツォー
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THE FALLS(1980年製作の映画)

2.5

鳥のように青空を自由に飛んでみたいと思う人間はいても、人間のように地面を歩いてみたいと思う鳥はいない


よく最後まで194分と言う尺に耐え鑑賞したと自分でも関心、きっと最後まで観れば何かがあるだろう
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あなたと私の合言葉 さようなら、今日は(1959年製作の映画)

3.3

此処で出逢い此処で別れたならいつか互いにそよ風で流される薄雲の様に忘れてしまう、いつかまた何処かで出逢ったなら互いに頬笑み瑞雲に包まれ愉悦に浸ろう

大映の市川崑が松竹の小津安二郎へGoodbye &
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ジャンヌ(2019年製作の映画)

2.0

人間は時間が経てば黙っていても誰でも成長はするが、命は黙っていても守られるものではない

守るべきものを守る戦いを神は赦すのかどうかは知らないが、この世の中には命より大切なものがある

神を都合よく利
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ジャネット(2017年製作の映画)

2.0

神は残酷な戦争を止めるでもなく無慈悲な貧困も絶え間なく続くこの世界を静観するだけ、羊飼いの少女は神の不在に嘆き蒼天に広がる憂い唄は愛国心を芽生えさせる

自分はキリスト教徒ではないので理解しようにも理
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湿地(2006年製作の映画)

2.5

何の変哲もない幾つかの日常の食のシーンとジメッとした湿地との相乗効果で事件を不快で陰湿なものとなる

逃れられない遺伝子に焦点をあてた所と地味で渋い俳優陣とロケーションは好感がもてる

食物も遺伝も連
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カレ・ブラン(2011年製作の映画)

3.3

開始5分で作家〝ジョージ・オーウェル〟の全体主義国家の惨さを描いた最高傑作『1984』をパク…いや、多大な影響を受けたであろう反スターリニズムや反ファシズムという観点から全体主義思想の恐怖と人格否定を>>続きを読む

オーダー(2024年製作の映画)

2.5

どう終わるかではなくどう始めるか


蟻のひと噛み巨象を倒すには何もかも足りないものが多すぎるとしても、蟻が巨像を倒したい正当性や大義があるならば無駄な行為とも言えない

革命は成功しなければ愚かな行
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怒りの葡萄(1940年製作の映画)

3.8

踏み潰された葡萄は二度と味わうことはできないが、葡萄を踏み潰した靴は汚れている

これがホントの怒りのデス・ロード

中南部オクラホマからカリフォルニアへ貧農の大家族がボロボロのトラックで、アメリカン
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ラビッド(1977年製作の映画)

1.5

皮膚治療の専門病院ダン・ケロイド医師の運営する〈ケロイド・クリニック〉を起点に物語は始まるが、医師の名前を聞いただけで不謹慎だが怖いもの見たさでクローネンバーグの奇抜な描写に期待してしまう


本作の
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私の中のもうひとりの私(1989年製作の映画)

3.8

全てを持っているように見えて実は何も持っていない

耳を澄ませば聞こえてくる悲痛な叫びは通気口を通し部屋壁を震わせる、憐れんでいるのは壁の外なのか内なのか


社会通念上の道徳観や倫理観は物凄く大事で
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私は確信する(2018年製作の映画)

2.8

ひとつ疑問と言うか違和感と言うか腑に落ちないのは何故にして主人公の息子の家庭教師の父親が、妻の殺害容疑で裁判となり無罪を主人公が確信したのだろうか、仕事を疎かにし我が子を置き去りにしてまで熱心になる理>>続きを読む

午後10時の殺意(1974年製作の映画)

2.2

在りえない偶然と偶然が重なるからこそ不可思議で奇抜な物語性に掻き立てられる興味の津津、其れがあまりにも出来すぎた偶然になりすぎると陳腐な物語になってしまう難しさ

人間は予測不可能で非常識な行動を起こ
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死の十字路(1956年製作の映画)

3.0

こんな事を言ったら元も子もないがこの映画の時代に防犯カメラやドライブレコーダーが有れば、取るに足らない多くの犯罪行為は一瞬で犯人が特定され当時の犯罪小説や映画は成立しないだろう

其れでも犯罪は今もな
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枯れ葉(2023年製作の映画)

3.5

枯れ葉を静かに踏み締めれば終着駅が近いんだと知らされ、擦れ合うカサカサ音の警笛が鳴る夕暮れ

天地が橙黄色に染まり美しさに現を抜かしても、宵闇に惑わされる前に行くべき場所へ自然と促される

枯れ葉が肩
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ドリーム・シナリオ(2023年製作の映画)

2.0

主題は唆るが趣は緩い…

言いたいことは誤解を招きそうなので夢の中でこっそり吐きます、今夜貴方の夢の扉の鍵を開いておいてください..★,