YokoGoto

欲動のYokoGotoのレビュー・感想・評価

欲動(2014年製作の映画)
3.2
私が大好きな女優の1人である杉野希妃さんの、長編初監督作品。
杉野希妃さん、やはりいいですね!『女』を表現させたら、彼女のセンスと才能はピカイチだと思いました。

あの傑作映画『歓待』を観て、彼女の存在を知ったのですが、女優だけではなく、映画プロデューサーや監督として活躍を広げているあたりも、非常に好感もてます。
映画『歓待』の、あの艶めかしい新妻役で、一気に大ファンになりました。
彼女の演技を観ていると、彼女は『映画を愛しているんだな』と感じます。
演技から、映画への愛情が伝わってきます。“こんな風に演技をすればいいんでしょ?”という感じは微塵もなく、映画の世界観を演技で表現仕切る、そんな丁寧さを感じるのです。

本作『欲動』では、主役ではなく脇役キャストでしたが、監督なので、脇役であってもそれは健在です。

お話は、オールバリ島ロケの渾身作。

死の受容ができない死期がせまるやさぐれた夫(斎藤工さん)と彼を支える妻(三津谷葉子さん)の、愛と性と生の物語。
女性監督が描く、対比された二つの官能ベッドシーンが見所の作品です。


実は、レビュアーさんの評価があまり高くなかったので、若干、期待値低めで鑑賞したのですが、正直、ラストにかけてグッときてしまいました。

これは、そこそこ大人の女性でないと、分からない感覚のような気がします。
つまり、女性独特の感覚でありつつ、なかなか表現しずらい感覚です。

妻も夫も、自分の感情をべらべら台詞で説明するシーンはほとんどないので、感情がどのように動いているのかがわかりづらいのですが、それがまさにリアルな男女の感情だと思います。近ければ近いほど、言葉にしづらくなる事ばかり。それを、性行動で表現しているあたりは、大人の女性の渋みを感じました。

男性からみると、正直理解しがたい部分もあるような気がします。(笑)
こういうあたりから、男女のすれ違いが始まるのでしょう。(笑)

演技については、三津谷葉子さん頑張ってましたね。
最初、どっかで見たことあるなぁと思いだせませんでした。『愛の渦』の彼女ですね。今回は、またテイストの異なる演技ですが、演技に若干の迷いはあったような気がしますが、あそこまで体当たりできる若手女優さんも少ないので貴重です。

キャミワンピから見える、白い肌が美しくて官能的でした。

夫役の斎藤工さんは、演技をちゃんと見たのは初めてでした。
「こういう演技なんだ」と初めて知りましたが、個人的には、もっともっと、カッコ悪さを表現してほしかった感がありました。前半部分は、もっとダメダメで良かった気がしました。

それでこそ、ラストシーンにかけて、よりグッときます。

杉野希妃さん、ますます大好きになりました!
YokoGoto

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