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龍三と七人の子分たちのgockのレビュー・感想・評価

龍三と七人の子分たち(2015年製作の映画)
3.0
『首』が良かったので20年ぶりくらいにたけしブーム来て『アウトレイジ』三部作、『座頭市』観たので、もうひとつ新しめのこれも再見した

昔気質の元ヤクザじじい七人が組を作って、半グレ詐欺集団と対決するコメディ
完全に最初から最後までコメディなので怖いシーンはないのだが藤竜也とか近藤正臣がギャグで凄んでも、威勢のいいオーラが一瞬だけバッ!と放出されるので、基本は可笑しい感じではあるがちゃんと「怖い」顔やオーラが発揮されるのがさすが名優と思った
あと、こんなコメディ全開だが仲間の一人が普通に撲殺されるのが良い(これが無ければ弛緩して途中で飽きてたかも)。そしてその遺体を使った不謹慎ギャグを連発しながらのラストバトルも良い。
最後に主人公がオチを言った瞬間に画面が停止して終わるのも『首』っぽくて非常に良い。
あと普通だったら龍三が息子家族と仲直りしたり、モキチが孫娘(千眼美子)と仲直りしたりしがちだが、よく観たらジジイ達が心を通わせるのは刑事役のたけしだけで全く誰一人として世界と通じ合わず終わるのも良い
龍三たちが最後までひたすら空元気でギャグし続けるのでコメディ足り得てるが冷静に見たら割と他の北野武映画っぽいドライな内容。たけし刑事が暖かく見守ってる分だけいつもより優しいか。部下の刑事の國本鍾建氏は何気にBROTHER以降ずっと出てる、この人かっこいいから好き。しかしこの人も60近いのに、たけし老刑事のサイドキックという……北野映画の高齢化が凄い
なんか北野映画の話しても全然出てこなさがちだが割と良いと思う。何気に『アウトレイジ』一作目以降ずっと大ヒットしてるのも地味に凄い

凄くたけしっぽいベタなブラックジョークの数々が、公開当時は「いつものたけしのやつだな~」と無風だったが、最近たけしそのものが自由に喋ってるところを見る機会自体が少ないので「懐かしい」なと新鮮な気持ちで観れた
そもそも昔からたけしのラジオやら北野ファンクラブを観てた人は、あまり北野武映画をフラットに観れない部分があって「映画でしかたけしを知らんヨーロッパの人たちの方が楽しめるのでは?」と思ってたが、TV自体を殆ど観なくなって(というか持ってない、TVerとかで観るだけ)たけしをあまり観なくなったことで、ようやくヨーロッパの人たちみたいな感じで観れはじめた気がする

昔観た時
http://gock221b.hatenablog.com/entry/2015/10/18/214242
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