ノラネコの呑んで観るシネマ

トイレのピエタのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

トイレのピエタ(2015年製作の映画)
3.5
画家の夢を諦め、漫然と生きてる青年が、突然の余命宣告を受ける。
生の意味を失った主人公が、不治の病に侵された事で、改めて“生きる”という話はまあよくある。
漠然としたエピソードの多いプロットは、焦点がボヤけやや弱い。
原案になっている手塚治虫の構想メモから、突き詰めて考察されたという感じは正直受けなかった。
本作で特筆すべきは、主人公と彼に絡む少女を演じる野田洋次郎と杉咲花の素晴らしさだ。
二人の生々しい生命感が、ぼんやりした映画の情景から突き刺さる。
ラストショットの彼女は、正にピエタだった。