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チャッピーのnaoズfirmのレビュー・感想・評価

チャッピー(2015年製作の映画)
3.6

人間らしさ🎬

ストーリーはギャングに育てられることとなった主人公が人間との生活や交流を通じ、人間らしさを手に入れていく姿を描いた作品でした。

"人間臭さ"
今作の魅力はチャッピーの人間臭さです。最初は赤子同然の状態で、好奇心旺盛だがとにかく臆病。絵本やスケッチが趣味で争いごとは大嫌いで、無理やり持たされた拳銃に怯え、ディオンの「暴力はいけない」という教えに素直に頷くきます。不良少年のたまり場に置き去りにされた際はママを呼びながら街をさまよい、ボロボロの状態で家にたどり着く。観ていてとても愛おしいです。ニンジャから自分の運命を知らされて以降は「生きたい」という自我に目覚め、彼らから社会で生き抜く術を学びます。目的を果たすためにはディオンの教えよりも彼らの方が正しいと気づき、徐々に「その道」に染まっていきます。ディオンに説教された際の拗ねたようなしぐさはまさに反抗期です。親”の言うことに反発し、仲間との絆を優先するチャッピー。なぜならそこには「共通の未来」があるからです。自分を生み、生きる意味を与えてくれたのがディオン、自分を愛し、帰る場所をくれたのがヨーランディ、自分を必要とし生き抜く術を教えてくれたのがニンジャとアメリカ、多くのものを与えてくれた彼らに対し、チャッピーができる恩返しはただ一つでした。自らの命よりも彼らを助けることであり、この先も元気でいてもらうことです。見た目などは関係なく、人の手によって生み出された嘘の感情だろうがどうでもいいのです。実験体として生み出され、人間以上に人間臭く成長したチャッピー🤖わずか5日間ではあるが、彼らと過ごした時間はチャッピーの「人生」そのものです。この5日間で一生分の成長を遂げ、そして“命を賭して”守りたいと思うものを見つけた、、最高です。

"舞台"
今作の舞台となるのは南アフリカのヨハネスブルグです。ニール監督自身も南アフリカ生まれです。「第9地区」や「エリジウム」でも、南アフリカの社会に巣くう貧困や犯罪率の高い地区の事情をリアルに描いていましたが、今作も例外ではなく、世界有数の犯罪率の高さで有名なヨハネスブルグの暴力的な面を軽快なテンポで描いていました。故郷を愛するがゆえにこのような作風が多いのだと思います。ギャング団たちの教養のなさをコメディタッチで描きながら、同時に多くの人がそのように生きるしかなくなっている南アフリカの現状をSF映画に交えて訴える、ニール・ブロムカンプ監督らしさを感じました。
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