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トイ・ストーリー4のJIZEのレビュー・感想・評価

トイ・ストーリー4(2019年製作の映画)
4.4
"おもちゃにとっての真の幸福とは果たして何か?"更に根源的なテーマをイチから見直し、新たな精神性が時流に合わせて紡ぎ出されている。そもそも"結局アンディの気持ちは?"という観点でみるのか、おもちゃ自身も成長して新たな環境に巣立つのか、という境地でだいぶ賛否が割れそうな最新作だった。映画的にみてもハッピーないしバッドエンド両方にも見方次第ではとれてしまう。またパート4を観たコトで前作『トイ・ストーリー3(2010年)』の最後でアンディがウッディたちをボニーに譲渡する屈指の名シーンが感動できなくなってしまった。ウッディがボニーに飽きられホコリをかぶったり、なくなっても探されもしない。ボニー父親に土足で踏まれるシーンはボニー一家を控えめに云って殴り殺したくなりました。あんなにぞんざいな扱いを受けたり、放ったらかしに近いような光景は三作目までのシリーズを愛する目線からすればあまりに素っ気なく、だいぶ悲しくなる。最初のダイヤモンド・ユカイが歌唱する「君はともだち」は毎度ながらも心地良い郷愁感を感じさせる。冒頭で9年前の陶器製の羊飼い人形"ボー・ピーフ"との別れにおける時制が遡ったり今回の拠点地アンティークショップでのひと騒動や移動遊園地の大円団感、自分をゴミだと認識する新キャラのユニークさなどそれぞれの要素が散り散りに真のフィナーレに向けて歩み出す高揚感は往年のトイたちが醸し出す作風に乗せてあったが。ぶっちゃけウッディとバズの友情やそれを取り巻く仲間たちだけに主軸をしぼって文字通り"本当のラスト"らしいシナリオに着地させれば良かったんじゃないの?と少なからず思わざる得ない。ウッディがみずからの意思で選んだ意を汲めばコレで良かったのか…と思わされる。反面でもっと違う方法やおもちゃの幸福の導きかたがあったんではないかと大人の目線からみて考えさせられる。良くも悪くもシリーズの精神性が意識高くなってしまった事に喜びと悲しみがぶつかり合う総じて満足のパート4でした。
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