そまたま

トイ・ストーリー4のそまたまのレビュー・感想・評価

トイ・ストーリー4(2019年製作の映画)
4.8
あんなにも完璧な形で終えたはずの3の結末を、4で更にアップデートする。
こんなに素晴らしいシリーズ物映画があったとは、ここまでほとんどトイストーリーシリーズを観て来なかったことが恥ずかしい…。

1の公開が1996年。
ピクサーとしての初の長編作品であり、世界初のフルCGアニメでもある記念碑的作品の登場から14年後、まさに劇中のアンディと同様に、当時子供だった観客たちは大人となりトイストーリー3を観たことだろう。
1〜3はまさにアンディと、その父的存在であるウッディの物語であり、かつ、ウッディの仕事観としての物語だった。

ウッディは4の劇中で、自分にはこれしかないんだと、ボニーの面倒をみる事、子供の面倒をみる事だけが自分の存在意義なんだと言う。
3までのウッディの仕事観は一貫して同じだ。

しかし、それを否定し、ウッディに新たな価値観を与えるのは、かつてはか弱き陶器のオモチャであったボー。
彼女は野良オモチャとして生活してい上で、真の強さを獲得し、1人の自立した大人に成長し帰ってくる。

この辺り、保守的な男性キャラクターと対照的に、革新的で自分で道を切り開いていく女性像という対比は、昨今のハリウッドの傾向であるわけだけど、取り分けピクサーはそこをインクレディブルファミリーなど他作品でも強く描いていて、凄く、今的な作品だなーと感じた。

とにかく、このトイストーリーというシリーズにおいては、ウッディの1つの凝り固まった価値観に根差して物語は展開し、オモチャとは子供と遊ぶことだけが幸せなんだと、そういう価値観の上で成り立っていたはずだ。
しかし、4のラストでウッディのその価値観は反転する。

生きる目的を見出すことは生きる上において非常に重要であるが、しかし、その生きがいは、時を経ることで変化していくもの。
それが仮に他者に依存しているのなら尚更。
実は、誰しも自由であり、生きる目的は他者に依存すべきものではない。
自由意志に従い、生きる目的を自らの手で選び掴み取ること、それは、時にはとっても怖くて勇気のいることだけども、君は1人じゃない、きっと仲間が助けてくれるから、君の目の前にも広がっている、無限の彼方へ、さぁ行くぞ!
そんなメッセージを感じた。
トイストーリー1でバズが思い描いていた無限の彼方とは少し違うのかもしれないけど、きっと誰の目の前にも無限の彼方は広がっている、自分自身の可能性を、自分自身に見いだせるかは、結局自分次第。

物語としての帰着を非常に今的な結論に集約してるわけだけど、1から一気に観ると、全てがここに集約するよう始めから練られていたんじゃないかと勘ぐりたくなるレベルの、シリーズとしての完成度の高さ。
これはまさに、トイストーリーとい作品自体がピクサー自身の姿を描いた作品でもあり、そして、ピクサーという集団自体がとてつもない進化を遂げた証なのだろう。
自問自答の末に行き着いた結論もまた非常に今のピクサーらしい。

いやぁ、悔いるべきは1点。
ほぼトイストーリーを生でずっと追っかけられたはずなのに一切興味を示していなかったこと。
リアルタイムでおっかけたかったー!!

2019-46
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