評判がいいので期待はしていたけれど、ここまで泣かされるとは思いもしなかった「pk」
傑作「きっと、うまくいく」で、インド映画の質の高さを全世界に知らしめたラージクマール・ヒラニ監督とアーミル・カーンが再びタッグを組んだと聞けば、観ないわけにはいきません
映画の内容についてはなんの予備知識もなく観たので、主人公が宇宙人である展開についていけず、序盤は正直、ハズレかも？と不安を感じました
しかし中盤からはのめり込むように観ていて、長いかと思われた上映時間153分はあっというまに過ぎてしまった
笑いのオブラートに包みながらも、様々な宗教への痛烈な風刺を描いているのが斬新で秀逸
ここまで信仰・宗教の核心についてズバリ切り込んだ映画は、世界を見回してもあまりないのではないでしょうか
かといって本作は、神を否定するわけではなく、それを求めることによる幸福も認識しており、問題は「宗教」そのものにあるという信仰の腐敗の根幹を問題提起している
多種の宗教が混在し、カーストに根差す病根も抱えたまま経済大国へと突き進むインドだからこそ撮り得た作品であり、おおよそ熱心なキリスト教国にあるハリウッドでは制作不可能な作品でしょう
笑って泣いて、最後は痛快さと切なさを同時に与えてくれる
人それぞれ宗教観も死生観も哲学もちがうとは思いますが、そんなことは脇に追いやって楽しめる上質なコメディ映画でした
