Orikun

幕が上がるのOrikunのレビュー・感想・評価

幕が上がる(2015年製作の映画)
5.0
 高校生の日常なんて、そんなに派手な出来事ばかりが続くわけがない。高校生たちの日常とは、不安であり、悩みであり、苦しみであり、友達と泣いたり笑ったり喜んだりすることだ。この映画で、本広監督は、小さな現実のひとつひとつの積み重ねを、丁寧に、繰り返し描いている。そうすることで、私達の忘れかけた記憶の中から、高校時代が鮮やかに「立ち現れる」のだ。だから、なんていうことのないはずのシーンで、ふいに涙が頬を伝うことも珍しくない。
 小さな現実を描いていくに当たり、主演を務めたももいろクローバーZの好演が光る。その演技はとても自然で、妙な力が入っている様子もない。普通の女子高生をこんなに自然に演じられるのが、本当に日本のトップアイドルグループなのかと不思議に思うほどである。それでいて、幕が上がる直前に見せる自信に満ちた瞳の輝きは、紛れも無くトップアイドルであることを納得させるに十分なのだ。
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