ノラネコの呑んで観るシネマ

幕が上がるのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

幕が上がる(2015年製作の映画)
4.8
期待を遥かに超える傑作!
相変わらずのうどん偏愛は置いといて、私的本広克行監督のベスト。
高校演劇の全国大会を目指す生徒たちの、一年間の青春の葛藤は、モノ造りとは何か、なぜ自分は物語るのかという、全ての創作者がぶち当たる原初の問い。
演出家の迷い、役者としての嫉妬。
コレは、全ての創作の現場の縮図だ。
物語の軸となる演劇部部長を演じる、百田夏菜子が素晴らしい。
ももクロのリーダーなのは知ってたけど、こんなに良い役者だとは。
そして彼女たちの青春の情熱を受け止め、凄みすら感じさせる若き大女優、黒木華が圧巻!
喜安浩平の脚本は、「桐嶋」とは違ったアプローチでこの年代の静かなる熱を描く。
この映画、幅広い観客に支持される優れた青春映画だと思うが、特に創作に関する教育に携わる人は是非とも観るべき。
私はどっちかといえば黒木華よりムロツヨシだけど、クリエイターを育てるとはどういう事なのか、色々なヒントをもらった気がするよ。