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ナイトクローラーの映画mystyleのレビュー・感想・評価

ナイトクローラー(2014年製作の映画)
4.6
『闇、闇、闇、、狂気の世界。モラルという言葉から一番遠い映画。不幸を喰らうサイコパスムービー!』

犯罪スリラー、サスペンス、胸糞悪い、サイコパス

 今回の話は、不幸を食い物に生計を立てるサイコパスパパラッチの話。特ダネを撮るためなら何でもする、そんな映画。モラルや道徳心という概念はこの映画に存在せず、終始下衆い。

 
 主演のジェイクギレンホールの怪演ぶりはヤバイ。このために、12キロ痩せたとか。そのため、こけた頬、やけにでかい目、ほくそ笑む唇。不気味さが増している。一度見たら、消して離れない“死”を刻む顔。 主人公を例えるなら、ハイエナやカラス、そして死神のよう。


 まず、人道無視で何でもする。救助活動もせず見殺しにしたり、カメラのアングル用に被害者を移動させたりする。主人公にとっては人は道具、不幸は喰い物という構図。そして、群れない一匹狼。かなり、闇が深い。

 主人公にはそもそも天職だったのだろう。というのも、初めての撮影からその才能が現れていた。他のパパラッチよりも、際どいアングルから攻める。彼には“ためらい”がないのだ。そこが、彼をパパラッチ界で成功させた要因だろう。普通の人がためらう所を平然とやってのける。その迷いがない。


 そしてやはり、特出してるのはラストの流れ。全てを計算・逆算し、行動する。そこにはもはや、感情も何も感じられない。人が死ぬ事(大惨事)を引き起こす事を生き甲斐にしていると言っても過言ではない。なぜなら、それが特ダネで高く売れるから。

 しかし、こういったものを生む理由として、私達がその映像を好むからという背景もある。そう考えれば、不幸を撮る側と観る視聴者側も同罪と呼べるのではないだろうか。需要と供給の関係である。パパラッチはただそれを提供するコマでしかない。真に鑑みるべきなのは、このパラダイムを作り出す私達、世間なのかもしれない。そんなメッセージも読み取れる。


 この映画は賛否両論で好き嫌いかなり別れると思う。ただ、私は今までこのような映画は無かったし、あえてそこに突っ込んできた大胆不敵さにお見逸れした。私は、話のコンセプトが好き。救いがないが、それがまかり通る世界。世間に潜む闇、そして人間の闇を知る映画である。

 

 
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