映画はあくまでもフィクションであり、作られた世界の話である。
ノンフィクションでも、自分にとって身近なテーマでない限りは、どこか他人事のように感じてしまう。少なくとも自分はそう。
自分が映画を娯楽作品として楽しんでいるし、その中でも好きなシリーズがワイルドスピードである。
ワイルドスピードの魅力は激しいカーレースやカーアクション、脳筋バカな計画、メガマックス以降だと歴代シリーズから集めた登場人物たちによるチームとしての要素、そしてこのシリーズに一貫してある、血の繋がらない人種も性別も違う仲間をファミリーとして信頼するというテーマ。
そういった要素がこのシリーズの魅力であり、最強の娯楽作品として楽しめるシリーズだ。
だけれど、今作スカイミッションに関しては違う。
スカイミッション、もっといえば今作のラストシーンに関していえば、フィクションとして割り切れるようなものじゃない。
ブライアンがドミニクを車で追いかけ、そこからドミニクがブライアンに対して言うセリフ。
あのセリフはドミニクがブライアンに対して言うセリフであると同時に
ヴィンディーゼルが亡きポールウォーカーに対して言う台詞でもあるのだ。
あのラストシーンに関してはフィクションを超えた、生の台詞だと感じた。
ワイルドスピードという、血の繋がらない仲間をファミリーとしての絆を描いた作品において、
私生活でも交流のあったW主演の相棒の死を受けての、あのシーンは
言葉は間違ってるかもしれないが、奇跡に近いシーンだ。
どんなに優れたフィクションも現実に起こった話には敵わない。
どんな優れたフィクションも人の死には変えられない。
あのラストシーンを観てそう感じた。
本シリーズの主役であるポールウォーカーへの最高の敬意があのシーンには詰まっている。
間違いなく映画史に残るシーンである。
故ポールウォーカー氏へお悔やみを申し上げるとともに
素晴らしい映画を作ってくれた製作陣に感謝する。