藻屑

スノーデンの藻屑のネタバレレビュー・内容・結末

スノーデン(2016年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

2017/1/18 六本木ヒルズで試写会に参加しました。ありがとうございます。まずは、この映画を公開にしてくださった配給様、監督を招致してくださった皆様、フィルマークス様、来日してくださった監督に感謝いたします。

 試写会自体初めてだったので、監督のお話を聞ける貴重な体験ができました。監督の言葉を聞いてからの鑑賞は製作や作品への情熱を教えて頂いたのでかなり胸にくるものがありました。監督のお話を聞いていた時点で熱いものがこみ上げてきて泣いてしまいました…。監督が何度もpleaseとおっしゃっていてその願いが。あと通訳の方もとてもわかりやすく伝えてくださってとても嬉しかったです。

米国のスタジオに断られて色々なところにスルーされてもなお作り上げた作品が日本で上映されることの重要さや監督が伝えたかったことを感じ取ろうと懸命に拝見しました。
私はとても好きな映画です。
いろいろ考えさせられると思います。たくさんの作品が海外で公開されても日本で上映されない作品は多々ありますが、スノーデンがちゃんと日本で公開された意図は必ずあると思います。様々なところにスルーされた作品ですが、監督の熱意を日本ではスルーしないでいただきたいです。
是非ご覧になってみてください。
私は色々なメッセージがあると思いますが、ジャーナリズムや報道や国家機密や難しいことも大切ですが、スノーデンのことをちゃんと描いていて彼は天才だけど、私たちと同じ人間だということをちゃんと伝えてくださっていると思います。

鑑賞直後感想は、『すごい映画が日本にやってきた』でした。
私には日本はこういった事件の蚊帳の外で体に染み付いたどこかで大丈夫だろうという安全神話がありましたが、がっつり日本に関係があります。
私は予告を見たときにとてつもなく恐ろしくなって、PCのカメラをシールで塞ぎました。演出にもありますが、カメラが目に見えました。
フィクションだと思いたかったです。まるで007の世界(スノーデンはQかな)だったのでこれが現実だと思いたくありませんでした。上映中も何度もあれ?これはフィクションだったかしら…と思うシーンがたくさんありましたが、それが事実だと思ったときに、ホラーよりも寒気がします。
忍び寄る恐怖って日常にあって気づかないものだったりしますし…。
そして監督がスノーデン本人と何度も語り合った内容、それを形にしようとした監督の意志、本人と監督との信頼感、主演のJGLと監督、本人の関係がなければ成り立たない映画だと思います。
最後の演出は今までみた映画(数少ないですが)でも特殊かなって思います。信頼関係ができていないとできない演出だと思いました。

私は史実物が大好きなのですが、この出来事はたった3年前です。実際映画の製作期間を考えれば公開よりも前に取り掛かるわけでそう考えるとリアルタイムに近い状態での製作だと思います。大抵見てきた史実ものは本人が亡くなっている場合が多いのですが、スノーデンは生きています。
今もロシアで生きているのです。
この映画のすごいところはたくさんありますが、そのリアルタイムさと本人と監督との信頼、そして主演のJGLの演技力の賜物だというのがその一つです。
最後のいつのまにか本人になっている演出には鳥肌と涙がでました。素晴らしいと思います。最後の光の差し込む色が綺麗なこと。

私は主演のJGLが好きで、このスノーデンが海外で公開された時から楽しみに待っていました。日本にくるかしらとワクワクしていたので公開がきまり、試写会が当たってとても嬉しかったです。
彼の演技はカメレオンといいますか憑依型に近く、実在の人物にアプローチして近づけていくところが好きです。まず映画が始まってすぐ、彼の声や喋り方が違うことに気づきます。そして風貌も本人にそっくりになっています。そして彼独特のかっこよさはそのままにどんどん画面に吸い込まれていくようでした。天才の雰囲気を身にまとったJGLはヤバいです(笑)
印象的なシーンは彼が苦しみから解放された光の中へ歩いていくシーンで、演出もとても印象的で好きなのですが、光に向かって歩く彼の笑顔がとても素晴らしい演技でした。あの笑顔は本当に素晴らしかったです。
今までの出来事から解放されるような…。彼の戦いは始まったばかりだけれど。
主演のJGLを見にいくことから初めてもとてもいい映画だと思います。あの笑顔の演技だけでも見る価値があります。あの笑顔を私はもう一度みたい。

人間関係の描写がとてもよく、ガールフレンドとの性格の比較や立場や恋愛模様もハートフルに描けていますし、同僚とのシーンも印象的です。ところどころに伏線があり、それもちゃんと効果的に使われているのが心地よかったです。
会場でも笑いが起きていましたが、最後彼と彼の同僚が手話で話すシーンがあります。そこでちょっとした小ネタが入るのがとても笑えない状況なのに笑ってしまう。それがまたいいです。
色々なところに好きなシーンがあったので、通常公開になったらまた見たいと思います。パンフレットもほしいですし。


最後に
ポスターにある
『最大の機密を暴いた男。彼は英雄か。犯罪者か』
という問いに私はこう答えたいと思います。

『彼は、天才に違いない。だが、その前に彼は一人の人間だった』
と。
藻屑

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