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ジャスティス・リーグのJIZEのレビュー・感想・評価

ジャスティス・リーグ(2017年製作の映画)
3.9
怪物ドゥームズデイとの死闘から数ヶ月後を舞台に地球の存亡と引き換えにスーパーマンを失った世界で破滅の使者ステッペンウルフが無数のパラデーモンを引き連れ地球へ侵略して来た事からバットマン等が新たな仲間を求め共闘へ身を投じていく結成譚を描いたDCエクステンデッド・ユニバースのシリーズ第5弾‼脚本にマーベル関連のジョス・ウェドンが直接参入してる経緯からも新規スカウトや仲間同士の軽快な名調子など最初の『アベンジャーズ(2012年)』を大々的に彷彿とさせた。まず開幕,少年が生前のスーパーマンに向けたポッドキャスト動画の映像がパッと映し出され胸の印が希望の象徴である由縁や「地球の一番いい所は?」など普遍的な問いが描かれる。所謂,英雄を失った世界で地球はさてどうなるか…恐怖が再び襲来し暗黒の影が身近に接近してる不穏な雰囲気は掴みを制して良かった。また原題の『Justice League』は元々"メジャーリーグ"の派生である。言ってしまえば超人ヒーローが一同に集結し凶悪なヴィランに立ち向かうという夢のドリーム要素な視点では『バットマンVSスーパーマン(2016年)』の終盤でワンダーウーマンが登場しその強烈な存在を知らしめたよう本作『ジャスティスリーグ(2017年)』では前者で得たそれ以上のインスパイアされた興奮が促されるような感動は越えなかった。本作はハイブリッドされたジョス・ウェドン印が至るところに熱印されたDCとマーベルの隙間を垣間見たようなアプローチで綴られる作品であった。

→作品概要。
監督は『バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生(2016年)』のザック・スナイダー。主演は前作に引き続きバットマン役にベン・アフレック,ワンダーウーマン役にガル・ガドット等がそのまま続投。また本作はアメリカ・コミック「ジャスティスリーグ(1960年初出)」の実写映画化であり世界中の大人子供のファンからも多勢に注目を集めました。

→超常的な源マザーボックスが世界平和の鍵。
今回,作品の鍵は死者をも甦らせる"三種のマザーボックス(=エネルギーマトリックス)の守衛"だったわけだが割とあっさり序盤&中盤でステッペンウルフに強奪され三位一体説を讃えられてるわけで終盤が訪れ敵陣とヒーロー同盟軍が激突する展開までは作品のトーンが超人スカウト(=仲間集め)と人間,アマゾン,アトランティスに守り抜かれた敵陣によるマザーボックスの奪還が切り離された状態で語られていく構造が割とハッキリ設けられていた。言っちゃえば核的な善と悪が交錯する瞬間はほぼ終盤まで訪れず善側で言えばスーパーマンやら種族の起源を掘り下げるなどサブ的な補因で超人集団ならではのドリーム要素が配されるカタルシスが生じにくい脚本だった事は冷静に振り返れば否めなかった。あと善側のチームが結成される迄で内容の2/3を使い切るためストーリー自体のテンポの悪さやチーム間で台詞に厚みがない連携感の薄さは本作最大の弱点だったように感じました。ただ超速フラッシュのスーパーマンを交えた苦笑せざる終えないアレであったりアクアマンとサイボーグのお披露目演出など新鮮なラインで興味が持続し続ける醍醐味があった。何よりこのチームがアンサンブルの連携を交え瀕死の攻防戦がインフレ化されてくDC世界観の競演を単純に浴びたいと思える重大な橋渡しを担う作品である。

→総評(バットシグナルで集った同盟陣の共闘)。
バットマンが終始ボロボロで役立たず,無能な設定は毎回のお約束だが今回でも自分の中で必死に怒の衝動を抑えました。また前作から地続きのダークな世界観も哀感があって雰囲気も美点だった。前半の超人スカウトやある死者を甦らせ対峙させるくだりが終盤のガチャガチャした最終決戦より遥かに面白かったのも明確である。それこそ序盤,無数の昆虫型パラデーモンを相手に建物内で囚われた人質を死守するためワンダーウーマンが超高速で移動し持ち前の剣で雑魚デーモンたちをめった切りに粉砕し「I'm believer(=信じる者よ)」と決め台詞を言う場面や中盤,バットマンが洞窟内でナイトクローラーという新種のメカを乗り回し縦横無尽に進撃する"らしさ"などお約束を押さえたうえでもコメディ色が染み込んだ作品と言えた。フラッシュが実戦経験ゼロでチーム内を掻き回す術もコメディ要因に徹していて軽妙な人柄も相まってか非常に面白い。前作の『バットマンVSスーパーマン(2016年)』では神vs人間の域に踏み込みそこにアマゾンの王女が乱入した事で場内が無茶苦茶に無限インフレしたが本作ではそういった意味でも平等に美味しい魅せ場が(ある1名の超人を除き)用意されていた。終盤の最終決戦はある男の強靭なワンマンショーが圧倒的なスペックを回避してぶっ飛び感満載で万能に展開されるのだが観ていて普通に吹き出しかけた。あとエンドロールの途中と最後でオマケ映像がある。前作で投獄された男の行方が明かされるのでぜひ最後まで"ダークサイド同盟"の再興を焼き付けてもらいたい。今回ゆいいつの苦言を呈せばステッペンウルフ(ヴィラン)の造形かつ言動が既視感ゴリゴリでもう少しどうにかならなかったのか…と感じた。DCユニバースの最新作という系譜でも手垢が付きまくった脚本ではあるがヒーローが人命救助する正当な場面などお約束をまばらに描ききる真面目な作品だった!とにかくスピンオフで綴る次回の海底王者を主人公に取った『アクアマン(2018年)』にぜひ期待したいお勧めします‼!
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