AIと人間の支配関係を描いた本作は、当時も衝撃的だったでしょうが、今観るとより観客にとって近いものとして受け取られると思いました。AIからレコメンドされたものを享受するのは誰にとっても当たり前のものになっており、徐々に侵食してきているかのように感じます。
本作がただならぬ空気感を常に帯びているのには画面に映る全て均衡が取れた冷たいものだからだと思いました。温度を感じるものが人間である二人のみで、居心地の悪さと、鑑賞後は最初から詰んでいたかのような心地がしてきます。
ガラス越しに出会うことしかないエヴァとケイレブの関係も近いようで遠い人間とAIの関係を端的に表していると感じました。