監督・脚本アレックスガーランドがアカデミー資格効果賞を受賞したイギリスのSF。
テーマは人工知能との恋愛は可能か、というもの。AIのエヴァはとてもメカメカしい身体ではあるが、表情や手の動き、言語能力は人間そのもので、ワンピースを脱ぐ仕草は女性らしくて魅力的。このシーンの美しさはぜひ観てほしい。
舞台は研究施設内のみだけど、観客の不安を直接煽る音楽がおもしろかった。耳と脳が刺激され、強烈に記憶に残る。生命体としての自分に混乱したケイレブの恐怖を、まさに感覚的に体験できる。
台詞もすごく好きで、あらかじめ恋愛感情をプログラムされているのでは?と疑ったケイレブに対して、「難しいのは自動的に行動することではなく、自動的ではない行動の方だ」と説く。
さらに、現代的な問いも投げかけている。自分の検索ワードが誰かの手によって悪利用されたら?恋愛経験の浅い現代人はAIによって簡単に感情を乱されてしまうのでは?AIに人権を主張されたら?
エヴァは自力で研究施設のセキュリティを出し抜いてしまった。科学技術の進歩はもはや人間の範疇を超えてしまう。彼女の目からは、交差点を行き交う人間をどう感じるのだろうか?