たけまる

エクス・マキナのたけまるのネタバレレビュー・内容・結末

エクス・マキナ(2015年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

何だろうこの読後感というか鑑賞後感は。ちょっと怖いが面白かった。AI開発、というのを材料にした、ミステリーと心理戦・頭脳戦の騙し合いと、そのための信頼性の創り合いというテーマが面白い。AI(エヴァ)に裏切られる(というか、予期せぬ事態にやられる)ネイサンだが、そのAIに対する読みはいみじくも当たっている、なのに人間のケイレブの行動は読みきれていなかった。ケイレブもネイサンの全貌を突き止めるも、その行動原理となる感情を生んだAIの全貌(愛は脱走のための計画)は掴めなかった。このパラドックスがおもしろい。そして結局最後、ケイレブ(=人間)を裏切られたからこそ、彼女(エヴァ)をAIとして見てる自分がいるが、これが裏切らず愛を示していたらAIに人間(ヒューマニティー)を見たかもしれない、という人間の都合良さ・傲慢さをメタ的に感じて気付けるのも深みがあって良い。あとは映像美により近未来感と実現可能性のリアリティーが出ているのも惹き込まれる要素。

追記
ブルーレイの特典映像にあった、「エヴァ」を見て知ったけど、エヴァ役のアリシアがバレエ経験者で、首の角度や表情、指先に至るまでコントロールできるのが、今回の役設定にどハマりしてAIと人間の両義性を醸し出してるのもまる。

結局AIに限らず人と人の間でも、何が真実かとか愛はあるのかとか本当に信じてくれてるのかとかっていうのは保証も証明も不可能で、人々の見なしや認識が入るものは科学的な意味でのテストにはなり得ないし、だからこそ信念や擬制でしかあり得ない世界なんだなと再実感した。でも、だからこそヒューマニティーや愛や信念は価値があるのだなとも同時に思った。
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