FancyDress

奴らを高く吊るせ!のFancyDressのレビュー・感想・評価

奴らを高く吊るせ!(1968年製作の映画)
3.0
イーストウッドの製作会社、マルパソプロダクション(モントレー郡のイーストウッドの所有地にある小川、マルパソ・クリークからとった名前である。マルパソはスペイン語で“悪路”の意味でもある。)の第一回製作作品であり、「ローハイド」を24話分監督した、テレビ出身のテッド・ポスト監督の68年の監督作である。

本作の製作当時、イーストウッドは、セルジオ・レオーネ監督とのイタリアで撮影したマカロニウエスタン三部作を経て、映画俳優として有名になってはいたが、アメリカでは、あくまでイタリアの映画俳優としかみなされてなく、ハリウッドの業界内で、イーストウッドはただのテレビ俳優だというレッテルをはられていた。

ハリウッドで通用する為には、アメリカで映画を作り認められなければならなかった。よって、イーストウッドは自身の映画製作会社マルパソプロダクションを作り、自分の思い通りに本作を製作した。

結果、本作は大ヒットした。
そして、後のイーストウッド作品の重要なキーワードとなっていく、“善悪とは?”という問いを既に、本作で提示している。

さて、本作に対しての私の感想だが、オープニングからイーストウッドが首に縄をかけられて木に吊るされ、瀕死状態になっているシーンに赤い色の文字でタイトルが出るあたりのセンスは最高にカッコよい。それこそ、レオーネのマカロニウエスタン三部作からの影響も感じとれて、期待が高まるオープニングシーンになっている。しかし、その後が緩い。つまり、90分でまとめれるような話を、ダラダラと2時間近くも見せられ間延びし過ぎていると感じたのだ。

このテッド・ポストという監督には、テレビ出身というのが原因なのかわからないが、テレビ的演出癖が、この監督から抜けきらないのではないかと思ってしまった。

その点は、この監督の73年の作品「ダーティハリー2」にもいえることなのだが、映画は、ダラダラ長く見せればいいものではない。

しかし、本作の内容は“人が人を裁くとはどういうことなのか。”という実に骨太なテーマを打ち出していてる。

以下に粗筋を少し記述する。

“無実の罪で9人の男たちから私刑を受け縛り首にされたイーストウッド演じる主人公の男が、その現場にたまたま通りかかった連邦保安官に助けられ裁判所のある町に護送される。後日、法的にも冤罪と認められた主人公の男は、町の判事の誘いで連邦保安官になり、自分を私刑にした奴らを見つけ出し合法的に裁こうとするのだが、、、。”

というような内容で、ウマイ監督が演出すれば、大傑作になるようなスジなんだが、テッド・ポストの演出は、もっさいんだよな。ラブロマンスのシーンとか長すぎる。

イーストウッドは文句なしにカッコいいんだけどね。

ただ、本作は公開当時、大ヒットので、イーストウッドは、テッド・ポスト監督に感謝していたらしいね。

なんだかんだといいましたが、イーストウッドの映画の歴史をたどるときには、本作は外せない作品です。

p.s.
デニス・ホッパーが、自分のことを預言者と呼ぶ囚人の役で出てるのだが、出てきて2分くらいで射殺されちゃって、DHファンとしては、ちと寂しかったが、イーストウッドとデニス・ホッパーが共演していたのが2人のファンとしては嬉しい。

ちなみに、デニス・ホッパーといえば、デヴィッド・リンチで、デヴィッド・リンチといえば、ローラ・ダーンで、ローラ・ダーンといえば、ブルース・ダーンなわけだが、本作には、ブルース・ダーンもチンケな流れ者の小悪党の役で出演していて、公開絞死刑にされます。w
(実際のイーストウッドとブルース・ダーンは、まだ売れていない若い頃からの友人同士であり、ブルース・ダーンは「ローハイド」にも出演している。
ブルースダーンの実娘、ローラ・ダーンは、93年のイーストウッド監督作「パーフェクト・ワールド」でイーストウッドと共演している。)
FancyDress

FancyDress