Deebee

ノーマル・ハートのDeebeeのレビュー・感想・評価

ノーマル・ハート(2014年製作の映画)
4.3
今まで観た映画の中で一番打ちのめされた。映画のことを考えると、2日くらいずっと悲しくて辛くて立ち直れなかった。
でも、観なきゃよかった、じゃなくて、本当に観てよかった、と思える。

まだAIDSが「"ホモ(ここでは侮蔑的用語であると理解してますが敢えて使っています)"のかかる不治の、原因不明の、致命的な病気」だと思われていた時代。
予防法が分かっておらず、一部のゲイが奔放な性生活を謳歌していた時代。
世の人々の偏見や差別、無理解、無関心に直面した時の無力さ。助けてもらえない中でどんどん仲間が病に倒れて死んでいく恐怖と悲しみ。
この映画は、こういう時代を生き抜いたゲイの作家さんの自叙伝をもとに作っているから、あまりにリアル。どれほど恐ろしく、辛かっただろうか、想像もつかない。

1番凄かったのは何と言ってもマット•ボマー。
いつもはマッチョで健康的な非の打ち所のないイケメンだけど、この役に挑む為に、体重を20kgほど落とした。
病状が進み、免疫力が無くなっていく彼は、澄んだ青い目もくすみ、まさに骨と皮で、本当の患者に見えた。

マーク•ラファロ演じるネッドの、自己の信念を貫き続け、孤独になってゆく様には心を打たれた。

ネッドがずっと強気ではいられなくなり、弱ってゆく恋人に自分を置いて行かないでくれとすがり泣くシーンは、私も犬にすがりついて号泣。笑

AIDS患者に尽力した車椅子の女性医師を演じたジュリア•ロバーツが激昂するシーンは冗談抜きで鳥肌が立った。



監督はgleeやAmerican Horror Story のライアン•マーフィー。彼はゲイだと公言していて、LGBTについて作品で触れることが多い。彼の作品を中高時代から観たおかげで私は、そういう人達に対し全く偏見を持たない、差別的でない人間になれたと思う。

所々、とても過激なシーンがあるし、私のように観た後落ち込むかもしれないけど、多くの人に観て欲しいと思う。
Deebee

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