この夫婦は背中にあるゼンマイが巻かれないと生命が止まってしまう。
だからお互いにゼンマイを巻きあって生活をしている。
そんなゼンマイを巻く行為は生死を左右することなのに、当たり前だからこそ感謝もなく思いやりが不可視化されるのである。これは夫の妻への態度で象徴的に示される。
そしてゼンマイを巻く行為は、洗濯や料理などのケア労働の表象とも解釈できる。このケア労働の不可視化は現代の大きな問題であり、それを現前化させた作品なのではと思った。
蛇足1
最後のシーンは、雨が降る。この雨降らしは、安易な演出だなと思ったが、生命の停止を表現するなら適切であるのかな。
蛇足2
豚の鳴き声は、英語でoinkなのね。
蛇足3
玄関が、家の裏口みたいで笑ってしまった。