バンに住んでいる、謎めいた偏屈な婆さん、ミス・シェパードをマギー・スミスが演じるイギリス映画。マギー・スミスは「イギリスのお婆さんといったらこのひと」という感があるが、舞台でもこの役を長くやっていたらしい。
このミス・シェパードは図々しく色々と要求してくるし、何かされてもお礼も言わないし、おまけに匂うしと、面倒で迷惑な婆さんなのだが、ときおり(映画として傍から見ている分には)ものすこくキュートだったり、あるいは教養をのぞかせたりする。
対するはアレックス・ジェニングス演じる劇作家アラン・ベネットで、彼はミス・シェパードを一方では面倒くさがりながら、もう一方で劇作家として面白がり、結果として彼の新居の駐車場にミス・シェパードのバンを停めさせることになる。劇作家としてのアランと生活者としてのアランが文字通り分裂して話しあい、皮肉をとばすのもおかしみがある。
全体的にイギリスらしいユーモアが効いていてクスクスと笑える、ハートウォーミングなだけじゃない小品で自分はたいへん気に入った。偏屈婆さんキャラが好きなひと、あるいはイギリスの映画やドラマが好きなひとにはかなりおすすめできる。