蛇々舞

ブラックパンサーの蛇々舞のレビュー・感想・評価

ブラックパンサー(2018年製作の映画)
4.0
あの、一ついいですか。

シュリものごっつ、

か わ い い ! ! !

主人公の15才の妹なんじゃけどね、これが、もうメチャクチャ可愛いんすよぉ!!
超健康的!!!
溌剌としてて、ああ俺は太陽の化身でも見たのではないか?

か" わ" い" い" ! ! !

ぶっちゃけ彼女のMCUデビューを拝めただけで個人的には満点をあげたい。
それほど魅力的だった。
続編のインフィニティ・ウォーにも出るそうで、今から楽しみでタマラン!!

……と、この時点で俺的には最高評価なのだが、あくまで映画そのもののレビューなのでノーカンでいく。

ストーリーは、いつものMCUだろう。
王道な筋立てやフェチズムのツボは外さないし、戦闘シーン、カーチェイスシーンも迫力たっぷり。
なにより、敵も味方も区別無く、誰もにスポットの当たるシーンが用意されているのは、キャラクターへの愛を感じて高評価だ。
そのバランスも絶妙である。

総じて上手く纏まっているので、これまでのマーベル映画を楽しんできたなら、大きな裏切りは、あるまいと思う。
逆に言うと、世間で騒がれているほどには、物語そのものは予測の域を出ない印象だ。

では、何が歴史的なスマッシュヒットを呼んだのかと言えば、アフリカ系黒人が主に画面を支配して映画を引っ張るというインパクトだろう。

そして、おそらく、この映画は1932年の「類猿人ターザン」へのカウンターであるはずだ。

皆さんは、その元祖ターザン映画において、アフリカの黒人がスクリーンに登場することをご存知だろうか。
実は、そのシーンはアフリカの珍しい景色を捉えに行ったドキュメンタリー映像の流用だ。
「なんだコレ」とカメラを見つめる黒人を前に合成されたヒロインが、さながら動物園の動物に手を振るようにしながら通り過ぎる。

それこそが当時のアメリカ人、否、世界の彼らに対する認識だったのだ。

檻の中の珍獣、サーカスの猿……

以来、広義にターザンのような大作エンターテイメント映画において、アフリカ系黒人中心でメインを組まれた作品というのは無かっただろう。
それが、ここへ来てのブラック・パンサー!
そりゃあ歴史的な大事件として認知されるのも頷けるというものだ!!

そりゃあアフリカの様子として、決してリアルとは言えないのだろう。

だが、これまでは物珍しさなどを買われて紹介されたアフリカ民族たちの姿が、非原始的なものとして描かれているのは大きい。

例えば唇に開けた穴に大きな皿を嵌めるというムルシ族も、スーツに身を包み、ワカンダの政治を司る文明的な存在として登場するのだ。

変わって、掲げるテーマも大変、政治的である。

苦しむ難民に背を向け、壁を作って内に籠り、自国の利益をのみ追求するという方針の否定。
アメリカファーストのトランプ大統領やヨーロッパ諸国への痛烈な批判だろう。
それを間違っていると断じる主人公、ティ・チャラは文句なしに格好良い!

惜しむらくは、その辺を比喩表現でなく、全て直接的な台詞にしてしまっている点か。
もう少し芸術志向に舵を切っても良かったように思うが、まぁ、そこは大衆向け映画として解りやすさを取ったのだろう。

なんにせよ、あらゆる意味で歴史的な映画である。
これを観ずして何を観る。
カッコいいだとか盛り上がっただとかで終わってどうする。
あなた方は歴史の偉大な一ページに直面しているのだ、いいから観たまえ!!

とはいえ、不満点もある。
ネタバレ防止のためだろうが、スタジオ撮影丸出しなシーンが多すぎたのは、いかがなものだろう。
たまに仮面ライダーとかの、予算を抑えたシーンみたいに見えた。
CGじゃなくて、もっとオープンセットとか作ろうよ。

ダメかなぁ。
ダメだよね、外に出たら撮られて流出しちゃうものね。

世知辛いなぁ、なんか……。



2回目の鑑賞でも非常に面白かったので、密かに評価を上方修正(笑)
蛇々舞

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