Sachiko

ブラックパンサーのSachikoのレビュー・感想・評価

ブラックパンサー(2018年製作の映画)
4.1
ワカンダ・フォーエバー!!
あれ、ワンダーウーマンとポーズかぶらん?と思ったら、前に出る腕がそれぞれ違うんですね。

「シビル・ウォー」の大暴れを期待すると少し違うかもしれないし、単一民族、島国、海外と比べれば差別とは無縁…な日本では、この映画が記録的大ヒットを記録したのはなかなか理解されないかもしれません。
けれど、今までのMCU作品の中でも有数の、ストーリーが作り込まれた素晴らしい作品だと思いました(個人的ベストはウィンターソルジャー)。

他国から資源を搾取され続けてきたアフリカが、もしも搾取されず自国だけで独占していたらこんな風に発展した、という世界。
その資源、人材はいつまでも自分たちのもので良いのか?外の世界に対する扉を閉ざし、理解しないままで良いのか?
まるで現代の私たちへの問いかけのような作品でした。

トランプ大統領が在任し、テロや銃乱射事件が相次ぎ、移民問題に揺れ、人種差別の論争が起き、女性がMetoo運動で立ち上がった「今」公開したことに意味がある。
黒人奴隷の歴史やバックボーンもわかりやすく組み込まれ、テクノロジーと伝統が合わさった独創的なビジュアルへの落とし込みには圧倒されました。散りばめられた音楽、衣装には、アフリカへのリスペクトが沢山込められていて、カラフルでとても楽しかった。

王座にまつわる話でありながら最高にクールなヒーロー映画。
ティ・チャラはヒーロー、王、光の存在。恵まれて育ったが故の無知と傲慢も併せ持ち、完璧ではありません。
悪役のキルモンガーはワカンダの歴史の陰の部分、血の滲む努力と苦労の末に偏った正義を育てますが、正面からティ・チャラに挑みます。
ヒーローとヴィランが表裏一体、という表現は王道だけど最高。
やっぱり「ヴィラン」の描き方が映画を左右するんだと勝手に納得。マイケル・B・ジョーダン、主演を喰いそうな勢いでした。

外の世界へ出た結果差別を受ける同胞に対してティ・チャラが無知であったように、自分もまた、無意識のうちに世界に背を向け、それを正当化してきたのではないか。
「ワンダーウーマン」と「ブラックパンサー」がそれぞれ記録破りの大ヒットを記録したことは、本当に意味があると思う。

お決まりのスタン・リー御大も登場し、エンドロール後には「え!?なんで!?」が残るばかり。
インフィニティ・ウォーが待ちきれません…!!
Sachiko

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