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キャプテン・マーベルのJIZEのレビュー・感想・評価

キャプテン・マーベル(2019年製作の映画)
3.7
アベンジャーズが結成される以前の1995年を舞台に瀕死の重傷を負いすべての記憶を失った代償に強靭な力を得た"キャプテン・マーベル"に関する衝撃の事実を描いたMCUシリーズの第21弾‼︎主役以上に猫が活躍していた。まず冒頭マーベルロゴが"あの人"に一新されてる特別な演出は開始1秒から胸に沁みるものがある。いわゆる本作は前々作『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー(2018年)』にて最後に長官ニック・フューリーが消えぎわに放った例のポケベルの救難信号のアンサーを担う"穴埋め"的役目を果たす最後の希望とも取れる重大な作品となる。語り口のメインは一貫して英雄がまだ誰も誕生してない過去に時制を移しキャプテン・マーベルとは?に対して関連性が深い若きフューリーを交えて重厚に紡ぎ出される。簡潔に云えばレンタルビデオ店に不時着してフューリーと自らの記憶を探る前半が求めてた記憶を手繰り寄せるミステリー要素を味わえ後半のスターウォーズぽいドンパチ合戦でだいぶ失速した印象を受ける。言うなれば本作はアベンジャーズ結成以前のオリジン作で最新の事情が大々的に描かれるような作品ではない(描かれる描写も微量にあるにはあります)。すなわちキャプテン・マーベルの知られざる背景に対してあまり乗れずアイスキューブのくだりやフューリー回りの事情以外はほぼ本質的にアナザーストーリー感が凄く期待してたほどじゃなかった。主演ブリー・ラーソンのハマりっぷりはアベンジャーズ面々と合流した際に新風を巻き起こすような強烈な存在感がありマーベルのスペックを把握する意味では鑑賞する意義があった。

→総評(終幕エンドゲームに繋がる最後の布石)。
総じて前半のフューリーとキャプテン・マーベルが奇跡的に合流する辺りまでは過去を逆再生するような快感があり楽しめた。いわゆるポケベルで託された新たな英雄の素性が閉ざされた記憶と共に露わとなる。求めてたサイド路線から本流路線に交わるカタルシスが何個か枝分かれしてありました。フューリーがアイパッチをする理由も同じくここに帰結する。また今回(物語内では)ある重要な人物を演じたジュード・ロウだがだいぶキャラかつ目的が薄々に感じてしまいコスパの悪さを痛感する。他雑魚キャラ含め名言できるがほぼモブ的に群がってるだけなためぶっちゃけ必要性を感じない。MCU潮流全体に言えることだがサノス登場以降でヴィランの存在が全体的にボヤけてしまい丁度いい悪役が不在な問題は本当に深刻だと思う。本作の盲点は割と断片的にどれもに手を伸ばし描いていてそこが薄々で入り込めなかった一因かもしれない。また後半の宇宙船内で交わされるスターウォーズ顔負けのああいう感じもMCU作品にはあまり望んでおらずエンドゲームに何かトンデモない布石を残すわけでもないため非常に酷で既視感でしかなかった。キャプテン・マーベル自身のここぞと言う強烈な魅せ場も振り返れば散漫化していて覚醒以降は無敵モードに突入するためだいぶ微妙だったように感じる。毎度恒例のエンドロール後映像でまだ継ぎ足しがあるだけ納得できたが、単独作品にしては脚本の交通整備がこんがらがってて微妙だった。ともかく次回(来月)で約10年以上にわたって凄まじい速度で展開されてきたMCUフェイズ3最終作を飾る『アベンジャーズ/エンドゲーム(2019年)』にすべてを託し前作のアントマン経緯やキャプテン・マーベル然りそこで本作の大事なオリジン要素が活きる可能性も十分あるため寛容な姿勢でフィナーレの全貌に備え待ち望みたいと思う。
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