何もかもが究極的

アベンジャーズ/エンドゲームの何もかもが究極的のレビュー・感想・評価

2.6
そんなに熱狂する内容でもない。だが熱狂しやすいように作られている。完全なる悪とそれに立ち向かう個性豊かなヒーロー達。これは本当に正義なのか?と自分たちのやっている戦争に疑問を持つことはない。その前時代的なわかりやすさが、色分けされたチーム戦を見ているかのような熱狂を生むのだろう。
サノスは全生命の半分を消す事を掲げているが、その理由は宇宙の調和を正す為という、漠然とした理由でどういう意味があるのかわからない。
その「わからない」がポイントで、理解できない相手は攻撃しやすように思う。理解不能で、しかも残虐な相手だからこそヒーロー達は、公然と「サノスを殺す」と言い切れる。
この戦う相手に盲目になる感じは、イラク戦争前のアメリカを彷彿とさせる。誰もがわかりやすい悪を求めている状況では、その相手に何をしても正義になってしまう。その正義に疑問を抱く余裕するなくなってしまう。
ウィンターソルジャー、シビルウォーで監督のルッソ兄弟が訴えた事柄は完全に消え、わかりやすい戦争映画に成り下がっている。