かのん

殺されたミンジュのかのんのレビュー・感想・評価

殺されたミンジュ(2014年製作の映画)
2.4
ある日の夜、1人の女子高生が何者かに捕らわれ、無惨に殺されてしまう。しかし事件は表沙汰になることなく、闇に葬り去られる。1年後、謎の集団が、その事件に関わった7人の男達をそれぞれ拉致し、激しい拷問により自白を強要させようとする。

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原題「一対一」は、果たして私達が生きている社会は国民1人1人が尊重されている社会なのか?という問いかけが込められているそう。一方、邦題「殺されたミンジュ」のミンジュは民主主義の意。「民主主義の死」という意味が込められており、原題とは異なるものの良いタイトルだなと思った。キムギドク作品の邦題は良いものが多いかもしれない。

観続けていくと、1番始めに拷問されたオヒョン(キムヨンミン)がその直後に別の風貌で出てくるから「??」が続く。結果的に、キムヨンミンは8役演じているのだけれども、それを理解するまで時系列が違うのか別の役なのかがわからなくて複雑だった。この配役にどんな意図があるのかはわからないが、9日という超短期スケジュールで撮影したことも関係しているのだろうか。

拷問をする謎の集団も、ある日は武装集団、ある日は警察など格好が変わっていくから「一体何者なんだ?」の謎が深まっていく。徐々に1人1人の背景が描かれていき、それがキムヨンミン演じるそれぞれの役と交差していくのは面白かった。

結果的に生き残る人間、やりきれない世界、なぜミンジュが殺されてどうして公にされなかったのかが明かされない結末。
「人間とは何か?」で始まり、「自分は何者なのか?」で終わる。何が善で何が悪なのか、考えさせられる作品ではあるものの、キャストの謎や殺された理由がわからない展開にモヤモヤが残った。これが鬼才キムギドク作品なのかもしれないが。
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