pero

スポットライト 世紀のスクープのperoのレビュー・感想・評価

2.7
報道ってなんだろ?
ロバート・.キャパの写真からゲス不倫まで報道と言っても玉石混交でいろいろある。
最初この映画を語る時にカソリック教会の児童レイプ事件に絡んだ隠蔽体質と腐敗の話をしようと思ったけれど、ちょっと違う気が…それを暴く話なので間違ってはいないけれどこの映画のテーマとは外れている気がして違和感があった。
この映画の元になったボストン・グローブ紙をまとめた「スポットライト カソリック教会の大罪」の序文に寄稿した監督のトム・マカッシーが調査報道を調査したと書いていて、この映画が本当に描きたいのは昔ながらの調査報道だと思った。
足を使い、レイプの被害者に何度も会い信頼関係を築き言葉にならない彼らの痛みを汲み取り、裁判所にある観覧禁止の付いた資料を見る為に裁判を起こし、過去の自社の新聞の中にある関連記事を全て探し徹底的に裏を取ってゆく。とても地味で地道な行為を積み重ねて行くことで全体像が見え神父たちの児童レイプと隠蔽体質による再犯、そしてそれによって明らかになる膨大な加害者と、レイプ魔を教会が放置したゆえに増えてしまった被害者の数。5人に1人がカソリック教徒というボストンの街で、その全てを明るみに出したボストン・グローブの彼らは本物のヒーローだ。
正しい報道というものはいつの時代も世界を揺るがす。この記事がもたらしたものは大きなうねりとなりローマ教皇の退陣にまで行き着く。
地味だけれどエキサイティングなこの映画で事件の全容は映画館で見て欲しい。
そして事件の続きはボストン・グローブが纏めた「スポットライト カソリック教会の大罪」で。
pero

pero