お茶碗

名探偵コナン 業火の向日葵のお茶碗のネタバレレビュー・内容・結末

3.1

このレビューはネタバレを含みます

あなたたち仕事をやり切ったよ…と褒めたくなる作品。大人の事情が透けて見える作品。かなりトラブルがあったと思うのに、作画が崩れないのだけでもすごい。

Wikipediaでの証言や、紙の小説版に初版にのみ記されてる犯人の動機の追加情報(犯人は絵画への知識をもっとたくさん持ってて、その上でとある向日葵の絵に贋作の疑いを持っているっぽかった)、脚本家のインタビューを聞いた人がTwitterに書いた投稿等をつなぎ合わせて、制作現場で何が起きたのかを推理する流れが一番ミステリーで一番面白かったのが皮肉。小説版は電子だと上記徹底的に消されちゃってるのも怖い話。徹底的だねえ。


元の脚本が尺長すぎたとか、アクション重視に途中で変えたとかあるけど、点在している情報をまとめると、十中八九中国公演で示唆されたと噂の「外部からの圧力」が大きいと思う(下記、全て想像による捏造です)。


尺なんてベテランの脚本家であればある程度改稿して調整するなんて普段からやってる仕事だろうし、アクションへの変更も最初からリクエストに入ってそうなもので、大きな理由なく、後から追加するのは考えにくい気がする。なんなら大物原作者さん考案のトリックも一つボツにせざるをえなかったらしいし。現場発の提案でそこまで思い切ったものはまずできない。

となると、大きな理由があったんだろうな。たとえばだけど、「アクションに変えたいってリクエストがあったからむちゃくちゃになったのではなく、むちゃくちゃになりそうだったからアクションを入れた」のでは…?

なにしろ一般的な制作現場で、中身が微妙になりそうになった時に、最後まで足掻く大人がやれることはただ一つ……それは「広告映えするシーンを少しでも入れて、興行収益が減らないようにすること」。だからアクションに大幅追加したのでは?実際当時広告の評判はかなりよかったらしいし。もちろん観客を少しでも楽しませようとする気持ちゆえが八割だと思うが……。蘭姉ちゃんのパワー炸裂シーン面白かったし……。新一は蘭姉ちゃんをポケモンみたいに使わないで!

整理すると時系列としては、
元の脚本が長い(小説版の情報から、多分だけど本当はもっと現実の絵画とフィクションと誇張を絡めた、ダ・ヴィンチ・コードみたいにしたかった?)→尺の改善をしているうちに、「外部からの圧力」があって当初の予定から目指していたものからだいぶ外れる予感が現場に漂う→いっそアクション追加させて少しでも質を担保→やはり本当にガンガン脚本が削らされていく→外部が許せた犯人の動機はうっすいものになる→脚本家の「自分の台本のボリューム多すぎ問題もあったけど、殺人事件まるまる一つと青山先生考案のトリックと犯人の動機と張ったはずの伏線全部カットされててもはや残ってるのゴッホの向日葵って題材だけなんですが」発言へ

なのでは…?

「外部からの圧力」については、ゴッホの向日葵という実在の有名な作品、実在する二つの美術館……ただ企業名書くときっと困らせちゃうから、ここまでにしよう。

描き切ってえらいよ。パワー持った外部会社とものづくりはきついよな…。
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