JIZE

名探偵コナン 業火の向日葵のJIZEのレビュー・感想・評価

3.5
業火な激情(憎悪)が鑑賞後に放出し,ぶつけ様のない崩れゆく感情(迷宮)は永久的にも彷徨い脆くも監獄入りしそうです。

巨匠ゴッホの国際的名画「向日葵」を巡り導く芸術的(アート)ミステリー⁉︎怪盗キッドが容疑者⁉︎高校生探偵・工藤新一登場⁉︎大富豪が集うNYC街並みが舞台⁉︎..とこの4要因に疑いも無く即惹かれ,原作兼アニメ大ファンの身としても絶対的に不可避な為,今作鑑賞を決行しました,が結論を先走れば,怪盗キッドが何故"怪盗"から"容疑者"に転身し彼の眼下に工藤新一が姿を現したのか⁉︎..や真犯人の犯行供述..言わば犯行に至る憎悪の底知れぬ曖昧さ,ウメノお婆さんの過去描写を交え促す掘り下げ不足問題等,ほぼ核心に至る動機付け(ロジック)の受動感を煽る曖昧さ(構成)が関心濃度を酷くも削ぎ淡白で裏目に出る。単場面orクライマックス崩壊描写だけでも最高潮に盛り上げる手段はなかったのかと疑念。予告詐欺⁉︎なのは期待した分,毎度の事ながら追い討ちをくらいロジックの関連性のなさ加減(薄さ)や予告詐欺の2箇所は50歩譲っても否めないです。総合的な完成度やクライマックスの着地もいつもの倍以上に杜撰。上手く(普通に)いけば確実に推進力を宿し活きるであろう伏線(特に怪盗キッド周り)にもことごとく裏切られ脱線しと残念過ぎました。真犯人の犯行供述でも怪盗キッドを含ませ語られる真実の動機には受動的過ぎて愕然と。もう犯行辞めなよ!と途中で言いたくなる程度。もはや不向きな犯行を無理矢理にも任され下降状態にも崩れゆく如く滑り落ちる雪崩状態。大人向け作品を狙わず意図的にも平均ラインを狙い普通に成功を納め普通に万人から愛され没個性の危うさが浮上する"凡作"と読み解きました。

何故惹かれない方向(構成)に意図しても物語を進ませ(構築し)たのか..前作『異次元の狙撃手』が個人的に傑作だった為に不明ですが確実に言える事は今作は前作より飛躍して駄作感を滲ませ現在までの怪盗キッドシリーズ{『銀幕の奇術師』や『天空の難破船』等}全3部作でも最高傑作とは決して言い難く残念な心境。与えられた登場人物や舞台,新ジャンル(芸術的ミステリ)等,素材自体は決して悪くない。では何が欠けてこのような大惨事を招いたのか..."作り手意識(精神)の欠如(惰性)"ではないでしょうか。少なくとも私はそう考察しました。クライマックスの惰性は名探偵コナン劇場作品中でもダントツNo.1!!。劇場版シリーズとして歴史に名を刻む可能性を題材的に十分持ち得てるだけにただただ鑑賞後はショック。来年度に期待します。

また,予告上では次々に崩れゆき爆破される建造物や予期せぬ襲撃者(第三者)によりコナンor怪盗キッド死す⁉︎程の業火が燃え盛り絶対絶対ピンチ!!と言わんばかりの最高傑作風な煽り(毎度のパターンです)が逆に憎らしく予告は既に別物語化してます。商法上の戦略なので当たり前ですが此処まで乖離するか..と鑑賞後に再度予告を見返しても別物語化してました。怪盗キッドや工藤新一ファンには少なくとも噛み応えある斬新な作品なのかな~と思ったり思わなかったりで正直オススメ手段としても掴み所が有るような無いような状態で曖昧です。

物語面でも,冒頭NYCのオークション会場で鈴木財閥の鈴木次郎吉が仏アルルで採掘された2代目「向日葵」を3億ドルで落札しハンマープライスを掛ける場面からキッドカードによる挑戦状と共に怪盗キッドが襲来しトランプ銃やワイヤー,煙玉でSPと応戦し逃走を図ったりと,館内で追跡劇が繰り広げられるこの追跡描写が全展開を振り返り改めて吟味しても正直1番活気やスリル,抑揚共に狂いなく満足感に満ち溢れ芸術ミステリ風味を唄う核心部分何かよりも波乱を含ませ様々に乱戦し"月下の大泥棒"を全身全霊で魅せつけられ物語的な納得いき用度に対しても安堵する最高の瞬間でした。NYCで工藤新一を登場させあの偶然的繋ぎ方をした直後のコナン君登場には呆然としましたが..。また序盤,旅客機爆発によりゴッホの絵画を空中で掴む場面,アニメ映画の限界を覚えました。浮力にあそこまで逆い自由自在に空中浮遊するのは不可能で場内も失笑に満ち溢れてました。7枚の向日葵絵画を巡り進む謎解きも水没や爆破に紛らわされ,ここでも曖昧。また,向日葵の絵画を死守する為,水力発電により循環的に構築された保存システムを動力源にしたレイクロック要塞も難攻不落なセキュリティを完備してるか知りませんが色々脆弱性が浮上し過ぎでしょうと。無敵感の演出は時間進行と共に脆くも風化されビジュアル的にもクライマックスを彩る最終舞台とも到底思えずダメでした。キッドカードの内容..若干共感しづらい感も余韻として残ります。新一&コナン&蘭がワン画面で総登場し貴重な会話を交わす場面は劇場版の贅沢さだな~と改めて感心。

従い,ポルノのED主題歌『オー!リバル』はコナンと怪盗キッドのライバル関係をメタ的に暗示させ楽曲制作されたみたいですが歌詞の哀愁風味が作風と合致し10億点!!出ました。OPのお決まり演出も毎度ながら満足。再三に述べましたが冒頭の迫力軽快な逃走劇でも些細な意外性あり1番楽しめます。今後鑑賞される方は予告やチラシ上で事前的にも散々煽られ唄われる新ジャンル"芸術的(アート)ミステリー"だけを着眼しご鑑賞される事をオススメします。勿論,怪盗キッドも見せ場見せ場の連続で一掃の事,題名『怪盗キッド 業火の向日葵』で良かった感があります。あと,アガサ博士と少年探偵団はTV版ならともかく劇場版で長尺稼いでまで必要でしょうか..彼らの存在(発言)が尺稼ぎにしか映らず少なくともアガサのクイズコーナーは本質的にも脱線し過ぎでしょうと。補助的には1番否めないです。日本アニメ映画の中でも勿論,高水準高品質な上等向けシリーズなので観る価値はありと判断!来年度の次作もワインやジャズ調を背景に"キール"や"バーボン"の黒ずくめワードが並んでたので期待値はかなり上げ鑑賞する予定です。色々論いましたが,後先考えず0状態で鑑賞し芸術(アート)なミステリ世界に浸かれば,巨匠ゴッホの国際的名画「向日葵」を巡る"恐るべき怪事件"をそれなりに楽しめ満喫出来きます。コナン劇場作品は1年に1回のお祭りなので迷わずもリアルタイム劇場で是非,オススメです!!!!
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