「おもしろい」映画だけど、これを全部だと思ってしまうのは良くないわな。
物語として見ると役所広司演じる陸軍大臣・阿南の葛藤には胸が熱くなる。戦争の時代に生まれて青春時代を従軍に捧げた若い陸軍兵達の想いを汲みながらも、大局を見定めて国と彼らの未来のために動いた阿南の最期は…しんどかった。そうならにゃいかんのかと、分かりきれない部分もあった。
また、松坂桃李演じる、正にその若い陸軍兵(正確には少佐だけど)畑中の行動も「狂気的」の一言で片付けてしまうのにはあまりにも悲しい。当時の教育やそれ以上の国全体の雰囲気として戦って死ぬことを美徳と教え込まれていた彼らには「ポツダム宣言受諾」がどの様なものだったのか。
教科書読むだけじゃあ至らなった考え方や視点を与えてくれたってだけでこの映画を観た意味はあったと思う。
ただ、やっぱりこれを観ただけでわかった気になってしまうことが一番怖い。これをきっかけにとりあえずリメイク前の67年版も観てみようと思った。