テレポーテーションが可能になった未来、距離と時間に対する憧れを失った未来の人間が、よくわからない思い出の品を、宇宙を何年もかけて送るというプロットは面白い。そして非常に詩的な作品だということも理解。
ただ、主人公である園子温の奥さん、すなわちアンドロイド目線から人間を語る割には、やけに人間的で無駄な動きが多く、また説明的なモノローグが多かったことでやや興ざめしたのと、レトロ趣味はともかくとして、Sci-Fiをやるのであればもっとこだわりを見せてほしかったという思いがある。詩的な作品だからといって、雑に作ってもよいという免罪符にはならない。
ただし、影絵の世界は非常に哀しく、そして確かに美しかった。
