ひそひそ星の作品情報・感想・評価・動画配信

「ひそひそ星」に投稿された感想・評価

起承転結とか緩急とか伏線とは縁の無い作品。宇宙空間の物理的法則も度返し。
つまりは、そういうことに言及しない前提で観る映画。

絶滅しかけている人間たちに荷物を届けるべく、宇宙船に乗って銀河系を一人旅する鈴木洋子。
昭和30年代から40年代の家屋(+一部神社っぽい装飾)の形の宇宙船。
狭い室内には、コードとダクトが剥き出しで、その奥には運ばれる荷物の箱が積まれている。
内部も外見同様の昭和仕様。
蛇口、畳、ガスコンロ、箒にチリトリ、壁に吊るされた円い鏡(婆さん家に似たようなのがあったな···)、オープンリールのテープレコーダー、長方形の蛍光灯カバーの中でバタつく蛾···そして、戦時中のラジオを思い起こさせる自称「コンピューター」のAI。実は映画の中で一番おしゃべりなのは、このAI。

そんな不可思議な(作為的だからか、レトロとかノスタルジーとかはあまり感じなかった···)宇宙船で、鈴木洋子はお茶を飲み、洗濯をし、雑巾がけをし、爪を切り、時折くしゃみをし、星から星へと渡って荷物を運ぶ。

荷物の中身は、いわばがらくた。
でも、そのがらくたの一つひとつに送り先があり受取人がいる。

それを待ち望んでいる人もいれば、中身を確かめるように見入る人もいる。声を圧し殺して泣く人も、もういなくなった人も···

このシーンを見て、物が記憶を運んでくるような印象を覚えた。まるでタイムカプセルを開けて懐かしむ大人みたいだ···きっと、がらくたの一つひとつにその人の琴線に触れるストーリーがあるのだろう。

そうした人達に物との出逢いを届け、ほんの少し何かを感じながら、鈴木洋子はまた宇宙船で次の星へと向かう。


「愛のむきだし」「冷たい熱帯魚」の園子温監督作。

この詩的なモノクロの映像は、決して楽しめるものではないし、感動もない。
自分的にあまり人にも薦めないだろう。

でも、自分でも好き嫌いすらよく分からないのに、なぜかたまに観たくなることだけは確か···そんな不思議な一本です。


【追記】
ロケ地は、震災後の福島。しかも原発事故が起こった近くの町らしい。
人類が宇宙の中で希少種となった未来の世界を描き出す上で、大震災に被災した田舎町の風景は、長年温めてきたディストピアのイメージに重なったのかもしれない。
この構想を映像化するには、被災の爪痕が残り、生活の痕跡だけが放置され雑草に埋もれかかっている今しかないと思ったのかもしれない。
だけど、監督に福島をロケ地に選んだ深い意図や思いがあったとするなら、自分にそれは分からなかった。


【いらない追記】
このロケ地、昔、一緒に暮らしてた方の生まれ故郷だった。
この作品観ながら「どうしてるかな···」と頭を過った瞬間、強引に脳に蓋をした。
nekop

nekopの感想・評価

3.2
また嫁かい!
別の女優さんやったらもうちょっと風情が出たと思う。なんの展開もないのになぜか目が離せんかった。ひそひそしてるから、集中しやすかったのかも。見終わったらそこはかとない孤独な気分になってた。これがSFの傑作なのか…芸術てやっぱり意味不明。

このレビューはネタバレを含みます

セピア調の昭和風屋内シーンから始まりますがパンすると宇宙船内です。
なぜか1Kアパート的な台所がありなぜか昭和風な女性がなぜか茶を飲んでいます。
宇宙船の操作パネルは手づくり感に溢れています。
レトロラジオのような箱の船内アナウンスが意味不明の航路を伝えてタイトルが出ます。
タイトルが出たあとの状況説明文は怪しいものでした。

『人類はあれから何度となく大きな災害と大きな失敗を繰り返した。その度に人は減っていった。宇宙は今、静かな平和に包まれている。機械が宇宙を支配し、人工知能を持ったロボットが全体の8割、人間は2割になっている。すでに宇宙全体で人間は、滅びていく絶滅種と認定されている。科学のほとんどは完結しているが、人間は昔と同様、百年生きるのがせいぜいだ。人間の人口は、宇宙の中でしだいに消え入るローソクの火のようだ。』(本編より)

国語力に乏しいのに加えて、率直に言って、とても馬鹿っぽいと思います。
機械が宇宙を支配、8割と2割、絶滅種と認定、科学のほとんどが完結、百年生きるのがせいぜい、消え入るローソクの火。
どうみても、他の言いようがあるんじゃなかろうか。

乗組員であるスズキヨウコは宇宙航行中の日記として音声を録音しています。
その録音として、現在の状況や立場などが説明されます。たとえばしつこいほど挿入される天井照明に囚われた蛾が、何とかいう惑星に着陸したとき入ってきてしまった虫だとか、例えば惑星間宅配サービスで十数年航行しているとか、などです。
それらが総てひそひそ声です。
やがてひとつの星に着き、とことこ荒野を歩いて廃墟のようなところに荷物を届けます。
普通のおじさんがそれを受け取ります。

そんな配達を何件かこなすのが映画の粗筋です。

予感していましたが、音声日記の録音によって、映画として訴えたいことも説明されます。例えば、テレポーテーションなら配達も瞬時だけど、「思い」を伝えるために、何年もかけて運ぶ、とかなんとか。

家での視聴だったゆえ、このへんで私は映画が何分経ったかを見ました。そしてあと何分あるかを見ました。映画が終わるまでにそれを4、5回やりました。

ここで、荷物をテレポーテーションによって一瞬で運ぶより、宇宙を旅して何年もかけて運ぶほうが「思い」が伝わる、という主張が出てきます。
おそらく機械的より人間的であれかし、というシンボルなのでしょう。ただし、それを呈示するには描写が足りません。説明として言ってしまうなら、映画である必要がないのです。スカーレットが、タラのテーマとともにいきなり出ててきて「明日には明日の風が吹くわ」と言えばいいのです。
あるいはテレポーテーションだって「思い」が伝わるかもしれません。なぜそうでないと言えるでしょう。いずれにせよ情緒がいきなり過ぎ、象徴へ導くには短絡過ぎ、なのです。
映画文法を無視というような問題ではなく、これが映画ではないということに、気付かされたわけです。

誰もいない浪江/南相馬でのロケ、またその住人たちの出演は免罪符になっています。素人感も意図的に隠していません。大震災を思い遣っている、彼らに寄り添っているという気配が、冷評を回避するのです。抜かりはありません。

これは、承認欲求で描かれたアートハウス風のプロモーションビデオです。プロモートするのは監督自身です。俺が描く俺の世界です。
言うなれば、桐島の前田涼也が、押しの強い先輩の隣で、先輩のつくった映画を観ている、ようなものです。
鑑賞中、先輩はずっと「どうだこのペーソスは!」とか「どうたこの映像美は!」とか「アルミ缶が靴に噛んだまま歩き回るのって楽しいだろ!」とか、絶対に、それを自負しているに違いないと思わせるねつこさにおいて、同意を強請してくるのです。
とりわけシルエットの回廊のあざとい愁嘆的雰囲気は凄まじいものがありました。
同意はしませんが、これが映画だとするなら、ありふれた体験ではないと思います。
KeiHirose

KeiHiroseの感想・評価

2.4
目を瞑って音を聴いているような映画

白黒なので色の情報は無く、ストーリーも厚くないので音に集中できる。
事象が淡々と描かれて時が過ぎていく感じ。

福島の被災後の風景がディストピア感を出しており、震災による被害を改めて思い知る。
じゅんP

じゅんPの感想・評価

3.0
宇宙で最も静かな息づかい。
合理的な時間の中で掬い取れなかった記憶は無機質に朽ち果て、僅かに残った温もりが今更明日へと運ばれる。

距離×時間の単純な公式は、誰かのものとなって新たなベクトルを持ち、新たな変数を伴って、未知数のままじんわりと熱を帯びる。

理由を探す旅、掬い取った記録。何デシベルかの思いを乗せて、受け取る気持ちは遥か先。色褪せることなく、今もまた流れている。

こんな穏やかな映画撮っておいて、インタビューで【『愛のむきだし』や『冷たい熱帯魚』みたいな何かを期待して肩透かしだと思った人もいるのでは?】的な問いに「ざまあ」って答えちゃう園子温スキ。
地元を美しい風景と思わせたいならそれは違うよ 些細な音でも傷はつく
りっく

りっくの感想・評価

2.0
こりゃキツイ。
人間をモノとして影画とか切り絵みたいに背景の一部として見せたり、冒頭の蛇口から水がポタポタ垂れる音で曜日が過ぎていく感じは面白いと思う。
だが、とりあえず今の福島でカメラを回せばディストピアな世界が広がっててSF映画の舞台にもなっちゃいますーみたいなメッセージしか伝わってこない。
神楽坂恵だけで100分は辛い。
ヴレア

ヴレアの感想・評価

3.9
神楽坂恵演じるアンドロイドは宇宙船で各惑星に郵便物を届ける仕事をしている。その壮大な旅を描いた物語。
このようにただあらすじを述べただけでもシュールな映画だなというのは察せられるだろう。
しかも、全編モノクロ。さらに、アンドロイドが届ける先の星々は東日本大震災の被災地を舞台にしているのだからぶっ飛んでる。
震災の記憶を風化させたくないという思いが込められているのだろうか。しかし、荒涼とした風景は本当に異世界のようだから不思議だ。
また、宇宙船のデザインもシュールでやられた。古き良き昭和の家屋をそのまま宇宙船にした感じ。こんな宇宙船なら気軽に乗ってみたくなる。
まあ好みが分かれそうな映画だが、私はかなりツボだった。
emi

emiの感想・評価

3.0
モノクロの映像が美しい、寡黙でストイックなSF作品。「2001年宇宙の旅」を思わせるコンピューターと船員のやり取り、レトロな日本家屋風宇宙船がユニーク。災害後の福島を舞台にしたことが、観る方に複雑な心境を抱かせる。ヘタなドキュメンタリーよりずっと心に残る試みだと思う。
Inomod

Inomodの感想・評価

-
退屈じゃなく心地よさで眠くなる映画
星新一ぽさを感じる空気感が好き
今まで観た映画のどのジャンルにも属さないので評価が難しい
>|