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アメリカン・ドリーマー 理想の代償のPOPCORNのレビュー・感想・評価

4.0
酷い〝理想″への反発、そして〝現実″は繰り返される。
やはり理想と現実、善と悪は表裏一体なのか。元々そんな色分けなど存在しないのか。しかしその構図に必ずあるのが、踏み台の如く弱者の存在。その立場から這い出ようとする人間のみが公正を口にし、でも成功者はその冷たい〝現実″に好かれなければ成功を手に出来ないのか。現実のループなのか。

1981年という最も暴力的なアメリカで象徴される年(今作の英語タイトルがそれ)。オイル業界におけるアメリカン・ドリームに、道徳的で、合法的で、公正で、非暴力を貫こうとする男の〝理想″と、それに飲み込まれる〝弱者″、成功に不可欠な〝現実″が、上手く混ざり合ったその様に時間を忘れる作品でした。
冒頭はあまりに地味で、期待ハズレかと疑心暗鬼にかられましたが、中盤にあるにつれ、黒幕の存在究明が加速を促し、ドンドン引き込まれます。

またアベルとアナの夫婦関係も〝理想″と〝現実″、〝経営者″と〝会計方″、〝男″と〝女″、それぞれの役回りにも、派手さはないが、深いところでは〝今″と繋がる思考がふんだんに散りばめられているので乞うご期待を。

1981年のニューヨークが舞台。長年にわたる汚職と常態化する強奪で目も当てられない石油業界に、公明正大な「理想」を掲げ参入したアベル(オスカー・アイザック)とアナ(ジェシカ・チャステイン)夫婦。全財産と銀行の融資計画を受け、事業拡大に必要な土地の購入に至るが、執拗なまでの地域の顔役or同業(?)の嫌がらせ(=オイルの強奪・脱税の嫌疑)が降り掛かり、遂に銀行からの融資が中止となる…。

2016_#19
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