スペイン系の移民の男が才覚と真っ当な営業スタイルでアメリカン・ドリームを追い求めます。石油ビジネスの地歩を固めるために、マンハッタン対岸の石油備蓄施設買収という賭けに出ますが、ここから、少しずつ歯車が狂い始めます。
主人公のモットーは法を犯さないこと、暴力に訴えないこと。ところが、業界仲間の嫉妬や一攫千金を狙うチンピラが法の一線を超えてまとわりついてきます。
主人公の理想は現実に侵食されていきます。主人公は理想を質に入れてアメリカン・ドリームを追い続ける決断をします。
終幕、一発の銃弾が、男が手に入れようとした石油ビジネス成功の奥に潜む危うさを露呈させます。
主人公を演じたオスカー・アイザックと妻役のジェシカ・チャステインは今最も期待される俳優ですが、演劇大学の同窓だったジェシカがオスカー・アイザックを監督に猛烈に売り込んで共演が決まったといいます。
雪に閉ざされたニューヨークは荒涼としていますが、情感を湛えて深い余韻を残します。