くわばらやすなり

合衆国最後の日のくわばらやすなりのレビュー・感想・評価

合衆国最後の日(1977年製作の映画)
5.0
台詞、映像、直球なメッセージ、全てが印象的な政治劇の超絶大傑作。
電話する2人を画面分割で同時に顔を移して擬似的に視線が繋がっている「ような気がする」が実際はそうではなく、双方の思惑はズレているという演出。大統領が自らの足で犯人の元へ向かい対面することで初めて互いの思想に妥協点を見いだし、歩み寄ることが出来るという感動がたまらないです。個人的には、軍部の作戦でヘリコプターや戦車に付けられたカメラ及びミサイル基地の監視カメラの映像とそれを見つめて実況する大統領達、犯人、軍部の映像を同時に見せる場面が衝撃的でした。シークエンスのサスペンスも素晴らしいのですが、カメラの映像を見た政治家が「白黒画像で見る世界の終わりだな」とボヤくなど何処かみんな違った視点で“映像”を見ていて、それを我々視聴者が見るというメタ的な構造が天才的だと感じます。
冷戦やベトナム戦争、牽制第一の皮肉なアメリカ外交にキレて「そんな奴等の責任を取るのは嫌だ!!」と大統領が一度は出ていくのを「アンタは大統領なんだろ!!!行かなきゃいけねぇんだよ!!!!」と叱咤激励され覚悟を決める展開など物語は王道で、直球な分かりやすい言葉で語られるので小中学生に見せてもいい最高の政治映画だと思います。