くますけ

あんのくますけのレビュー・感想・評価

あん(2015年製作の映画)
4.7
何にもなれなくても、この世界を見て、聞くだけで、生まれてきた意味はある。
徳江さんのこの言葉が胸を打った。

何にもなれず、何も残せず、死んでいくことの無意味に背筋をぞっとさせて生きている人はきっと思っているよりたくさんいるのだろう。
存在意義を残せないことの恐ろしさ。
彼女たちはそれを許されなかった。
その残酷さ。

徳江さんの人生は、たったの15歳から奪われ続ける人生だった。
それでも、見て、聞いて、残した。
極上のあんとささやかな教えと救いを。

監督の前作と比べるとスケールやストーリーは地味だけど、しみじみと一瞬の、小さきことの愛しさが伝わってくる作品だった。
くますけ

くますけ